第13話 いじめ-学校という名の地獄

 人には醜いところがある、厄介なことにそれは人には見えにくい、一見いいやつのように振る舞う人が実は悪いやつだったりする、そういう面で人間というのはうまくはできてないのだ。今日は学校がある、ある人は新しいことを学ぶことを楽しみにしているのだろう、またある人は友達に会うのを楽しみに学校に来ているのだろう、勉強が嫌で学校に行きたくない人もいるかもしれない、だがそういう人たちは幸せだ、本当の人の醜さには気がついていないのだから。学校は全日程の三分の二は出席しないと進級が難しい、だが、教師たちに聞きたい、その三分の二というハードルをどのように考えているのかと、おそらく簡単だと思っているのだろう、いやむしろ全部出席しろと思っているかもしれない、ただ俺のことが嫌いな人が少なく見積もって一〇人はいるクラスで一年に三分の二を過ごす。


 そんな地獄なことはない、しかもこれは決して他人ごとではないのだ、むしろ他人ごとだったらどれだけよかったのだろうか、本当に他人ごとだったらよかった、だが現実はそうではない、俺は残りの6か月間このクラスに週五で通わなければならないのだ。どこで間違えたのか、毎日そんなことを考える、考えても無駄だというのに。


 今日も戦場に向かう、勝ち目のない戦場に、すでに分かっている、現状を変えることなど不可能だということを、奇跡など起きないということを、そのことを踏まえて今日も学校に向かう、俺の家は学校から一五分程度のところにある、だがその一五分の間にも人の悪意は見えてしまう、俺にはわかるのだ。周りの人がわざと俺のことを避けているということが。ああ本当に嫌になる。なぜこんな思いをしてまでも学校に通わなくてはならないのか。


 もちろん過去に教師に訴えたこともある。だがむだだった、なぜなら証拠がほぼ見つからなかったからである、奴らは賢い、目立つ証拠が出なければあの保守的な教師が動かないと知っているのだ。それに奴らは表立っては優秀な生徒であり教師のお気に入りであった。教師が疑うわけがない。そんなことを考えていたらもう学校についてしまった。


 吐き気がする。行きたくない。だが行かなくてはならない。そんなことを考えながら学校の門をくぐる。


教室の中に入る。誰も何事も話さない。明らかに俺のことを避けている。俺はそんなことを考えながら、持ってきた本を読む。漫画だったらおそらく怒られるが、小説だったら許される。そのことはもう知っている。


幸い今の時間は教師の出現を考え手を出してこない、せいぜい無視をしまくって精神的に孤独にさせてくるだけだ。すぐに教師が来て授業を始めた。ちなみに俺は教師にも嫌われている。理由はとうにわかっている。俺が教師のお気に入りたちが俺をいじめているというデマを流したからだろう。まあ本当はデマではないんだがな。


今日も教師は俺ばっかり当ててくる。しかもあえて間違えやすそうな問題だらけだ。今は何とか全問正解しているが、それもどうなるかはわからない。

 まったくこんな社会不適合者でもなれる職業なんだな教師とは、こんな自分のことしか考えられないバカでもなれるのだ。だが運のいいことに全員に嫌われているわけではない。このばかな担任以外、俺のことを嫌っている教師はいない。まあ俺のことを助けてくれるわけでもないが。


「おい、今日も偉そうに小説鑑賞か? 偉そうだな、俺たちにがん無視とされたお前にはそれしか友達がいないもんな、まったくボッチはこれだから困るぜー、なーお前ら」


 周りから様々な賛美の声が聞こえ俺のことをののしる。


 俺はその声を無視する、今は10分間の休憩時間だ、我慢すれば何とかなる。


「おいそろそろやめよーぜ、先生が来る、あっでも一発殴っとくか」


 そういわれ俺は殴られる、傷を残さないようにうまくコントロールされている。だが反撃はしない、俺とこいつらがけんかをしていた場合疑われるのはまず俺だからだ。


「おーいお前ら授業だぞ」

「わかってるってせんせー」

「先生今日決めてますねー髪型」

そういってみんな先生の機嫌を取る。こいつは俺の担任ほど単純ではないが乗せられるタイプだ、。いつらもこのクラスのリーダー格の生たちが好きなのだろう。


 そういうわけで授業中はずっと虫唾が走っている、俺のことをいじめているこいつらが先生に甘い言葉を言い、簡単に気に入られている。たいして俺は無表情で誰ともつるまないよくわからない奴と思われているのだろう。

それは少し気に入らない。


「先生私ですか当てるの、勘弁してください、前回の授業でも当てていたじゃないですかー」


 そうぶりっこタイプの女子が言う。もちろん彼女も俺を嫌っている人の一人だ。


俺はもうあいつらの声を聴きたくない、楽しそうにする彼女たちの姿を。


俺はずっと何ともならないと思いながらこの状況を脱する方法を考えている。俺はあいつらに地獄を味わわせたい。


 俺から楽しい学校の時間を奪い、精神的苦痛を与え、教師たちにいい子アピールをする奴らを許せない許せない許せない許せない許せない本当に許せない。

なぜ俺がこんな目に遭わなくてはいけないんだ・


一つだけ考えがある、それはSNSを使うことだ、その方法はあまりとりたくはない、あいつらに与えるダメージがでかく、俺自身も身バレする可能性がある。


ただの音声データを学校に提出してももみ消される可能性が高い、奴らは保守的だから問題児を持っていると思われたくはないのであろう。


 そう考えるとこいつらもあと数日の命なのだと思い気が楽になった、どうせこいつらは社会に出たら弱くなる。

昼休みだ、昼休みにスマホの録音機能を使うその時が楽しみだ。


そんなことを考えながら授業を受けていたらいつの間にか授業が終わっていた、まだだ、まだそのときではない

今は結構はできない昼休みにあいつらは本気を出す、経験上わかっているのだ。


だから今は暴言もののしりも我慢する、昼休みにあいつらが終わるとわかっているからだ。ちなみにほかにも先生に提出した音声データがあるのだが、できるだけ最新のやつのほうがいい、そう考えた。

今日がやつらの命日なのだ。今日が終わればあいつらは終わると、そう考えた。



 そしてその時が来た。


 俺は四限目の先生が帰ると同時にスマホの電源をオンにして、動画をとるモードにした、これで奴らが俺をののしるのを待てばいい、念のためカメラを二つほど学校に仕掛けておいた、これでスマホを奪われても大丈夫である。


 早速その時が来たリーダー格の男が俺の席に向かってきた。


「おい、弁当食い終わったから来たぜ、この時間を毎日楽しみにしてたんだよ」


 俺は何も答えない。


「おい聞いてんのか」

「聞いてるよ」

「そうだ忘れてた、スマホかせよ」


 俺はああいいよと言ってスマホを渡した。それにこのことはすでに予想して、カメラを設置している。お前はもう終わりだざまあみろと思った。


「さてと、今日も俺らおもちゃで楽しむか」


 そういいリーダー格の男が俺を軽くはたいた。痛い。


「このぐらいの傷だったらすぐ治るだろ、ほらほらほら」


 そういい顔を瓶出しまくる、痛いが今は我慢だ、この音を聞いて俺は喜ぶ、これだけ聞くとドエムに聞こえるが、実際この音が証拠になるのだから。


「ちょっと待ってよ」


 そういい別の女子が現れた。救いの女神などではない、さっきの男の彼女だ。


「私にもやらせてよ」


そういって彼女までもビンタする。


「わかっているだろうが跡が残るほど強くはやるなよ」

「わかってるって」


 変態な男子なら、女子のビンタを喜ぶと思うが、そんな次元はもう超えている。痛いしか残らない。

 だがこれからこいつらの顔が絶望の顔に変わると考えたらそれは楽しみだ。

やがて、やがて、この長い休み時間も終わりを告げ、みんな席に戻る。俺は先ほど録音したカメラを回収したいと思ったが、それはまだ早いと考え後にすることにした。


みんなが普通に笑いながら授業を受けているのを見ると滑稽で笑いがわいてくる。お前らはここで人生終わるんだよと、そういいたくなる。


 やがて学校が終わった、すると俺は走ってカメラを回収して、その映像をスマホに送り即SNSにアップした。



「俺はいじめられています、助けてください、先生に助けを求めても無視されます、もう限界です

拡散希望」



 そう書いて投稿した。


 2時間もたつとれライトが6782ついていた。

つまりすでに6782人の人にはこのいじめのことは理解されたのだ。そのコメント欄には、同情するようなコメントがたくさんついていた。

そのコメントは俺の価値だ、そう思ってうれしくなった。


 朝母親に呼ばれた。


「ちょっとあんたこれどうなってんの?ネットに拡散とかしたの?ねえ」

「したよ、それがどうしたんだ」

「ネットは怖いの、簡単には消せないんだから、なんでこんなことする前にお母さんに言ってくれなかったの?」

「いじめられてるって言っても全然相手にしてくれなかったじゃんか」

「それは証拠がないからで」

「俺何回もビデオ見せたよね、母さんにも、学校にも、それで何も対応してくれなかったから、こんなことしてるんじゃん、俺だって本当は嫌だよこんな行為、俺にもリスクあるし、でも仕方ないじゃん、俺が自殺するより断然ましだよ」


 母親はそのまま立ち尽くしていた。


 そして当然、学校は休校になり、俺のクラスの子だけが呼ばれた、その日から毎日事情聴取があり俺はどんなことをされたのか話した。


 その後としては校長先生は首となり、担任の先生も首になった。いじめていた子たちは、ネットで個人情報が拡散され、悲惨なことになっていた。


 そんな状況を見ながら俺はただひたすらに笑っていた。俺はこれを天罰だと思った。



 数日後、そろそろほとぼりが冷めたと思い本屋さんに言った、今日発売の新刊があったからだ。

その行く途中、俺は背中に痛みを感じた、見ると俺は包丁で刺されていた。

顔を見るとクラスの女子である。


「あんたのせいで、あんたのせいで人生台無しじゃない、どうしてくれるのよ」


 ああ、人は逆上させると怖いなと思いながら、意識が闇の中に沈んだ。


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