第12話 人生初めての詐欺
俺は今日親をだました。親をだましてお小遣いを手に入れた。俺はどこにでもいるただの高校生だ。今朝は親に牛乳と卵が切れているから買いに行けと頼まれた。俺は当然嫌だったが親(特に母)は怖い、断ったらどうなるかわからない、しかも母はきれたら親の権力をフル活用してくる(例えば誰がここまで育てたんだとかこんな子に育てたつもりはないだとか)だから行くしかなかった。
「今日は日曜日なのにな」と心の中でつぶやく、2回から1階に降りて傘を取り出して玄関から外を出る。雨の日は傘をさして歩かなければならない、それだけで片手がふさがる、だから不自由になる、それに気分が少し悪くなる、そんなことを思いながら歩いてゆく。最近の人はみんな携帯を持っている、傘で片手がふさいでいても使おうとする、おとなしく歩いている時ぐらい携帯を使わなければいいのにと思う、かくいう俺も携帯を持っているが、こんな歩いているときには使わない、歩いているときは周りの木々をめでればいい、青空を見てればよいとそれをはっきりと思う。
そんなことを考えていると店についた、店といってもスーパーだ、最近は何でもそこで売っている。そう考えたら昔よりも便利になっている。昔の時代の時は店が分かれており一個ずつ買わなければならなかった、今は一つの売り場で買える、便利だ。
レジに並んで牛乳と卵を買った。七百十七円だった、千円払って二百八十三円お釣りとしてもらった、そこである悪知恵が働いた、働いてしまった。
それはもし俺がお釣りをごまかしたらお金を使えるんじゃないかということである、俺はいつもお金を使いまくってしまう。現に俺の全財産は17円しかない、小学生のお小遣いかと思うが事実である。親から毎月六千円もらえる、しかしすぐに使ってしまう。よって俺はこのお金でお菓子を買うことにした。今のお金は二百八十三円だ、親にばれないためにある程度は残しておく必要がある、俺は百四十円ぐらい使おうと思った、アイスの値段だ、最近は物価が上がっているが百三十円程度あれば十分だろう。それで百五十三円程度残る、そのお金を親に献上したらばれないと思ったのだ、現に俺はお使いを頼まれている、これぐらいしてもいいだろうと思った。
そこでまずレシートを道端に落とした、実際レシートにはお釣り283円とはっきりと書いてある。これでばれないだろう、レシートはなくしたといえばそれで済む、レシートなんて必要なのは家計簿に書くためそれぐらいであろう。だからレシートをなくしたといっても怒られないだろう。
完璧だ、俺はそう思った。それから実際にアイスを買うためにコンビニによった、コンビニにはたくさんのものがある、ポテトチップスにも興味がわいたが計画通りにアイスを買った。しかしどこで食べるかという問題に今気が付いた。考えた末近くの駅に行きそこのベンチで食べることにした。家の近くの駅はそこそこ大きく、バスが来るのでベンチがある。アイス食べているのは変だと思われるかもしれないが、不審者には思われないだろう。風に当たりながらアイスを食べたい人など現代にもいるだろう、アイスはとてもおいしかった。背徳感があったがとても美味しかった。その後帰りが遅かったら怪しまれると思ったので走って帰った。
家に帰ると母にお釣りを要求された、俺は即座に残っていた百五十三円を渡した。
案の定レシートのことを聞かれたが、落としたかもという一点張りで押し通した。それで親は引き下がってくれた。だましとおせたとそう思った、勝ったとそう思った。
その後部屋に戻ってゲームをそういう気持ちだった。いつも俺がやっているのは四対四の戦争ゲームだ、そこで味方と協力しながら敵を殺しそして敵の陣地の旗をとる。それがこのゲームのルールだ。基本的にこのゲームは面白い。何よりゲームとはいえ人を殺せる。楽しくないわけがない、そんなことを言ったらサイコパスに思われるかもしれないから倒すのが楽しい辺りにとどめておくとするか。
だがこのゲームにも欠点はある。はまりすぎてしまうということだ。勝てば俺のおかげ、負けたらみかたのせいという理論になってしまう。そのせいで何時間も何時間もやってしまう。依存から脱出しようとは思うがなかなかできないのが人間だ。
とはいえ学生だから勉強もしなくてはならない。だから30分ゲームしたら勉強を始めた。勉強というのはやり始めるまではつらい、やりたくないと思ってしまう。しかしやり始めたら意外と面白いものだ、自分の知らなかったことを知れる。楽しすぎる。
しかしやり始めて30分するとすぐにゲームをしたくなるこうゆうとき親が見張ってくれないかな?とそう思う。しかし親も暇ではない1度その提案をしたが却下された。
ならばリビングでやればどうだと思うかもしれないが、リビングでは父親が年中ドラマを見ている、というかあの人は結構いつも家にいる。仕事はないのかと思うが、仕事はあるらしい、うちの父親は忙しいときと暇な時が分かれている。
だから暇なときは毎日家にいる。勉強がはかどらないが現状に甘んじるしかないということだ。というわけで教科を変える。今までは日本史をやっていた、単なる覚えゲーである、人物名を書いて読んで覚えるそんなつまらない勉強だ、故に飽きるのも早い。数学にチェンジだ。数学は頭がつかれるが楽しい、理科が嫌いだから理系にはいかなかったがやはり数学は面白い。そしてどんどんと問題を解いていった、どんどんどんどん問題を解く。楽しいそとう思った。しかしまあ本当のことを言えばゲームのほうがおもしろいんだが。
どんどんどんどん解き進める。しかし毎回難しい問題に出会う。難しい解けない解説見てもわからない。そんな絶望的な問題(俺は絶望問題と呼んでいる)に出会ったとき、絶望する、そのあとは2択だ、そのままあきらめるか、解く努力をするかだ、今の俺はあきらめた、後々リベンジはするが、今は解けなくてもよい(いいわけではない)。すると下から呼ぶ声がした。母親だ。
御飯ができたらしい。俺は「今いく」と言い下のリビングに行った。
うちのごはんではいつもテレビが流れている。父親がテレビ好きだということも原因である。
「お前勉強ははかどっているのか?」
父親に聞かれた。「まあまあ」と俺は答えた。うちの父親はあんまり勉強に対して口出しをしてこないが、たまにこういう話をする。「お前まあまあでいいのか?」父親が聞く。「じゃあ結構頑張ってるよ」俺は言う「お前は、いい大学に行かなあかんぞ」父親がまた言った。俺は子供のころから勉強ができた、だから神童と呼ばれてきた。まあ勉強ができたのは小学生の時で今は進学校に通っているからクラスでは半分より下だ。まあでも勉強はできると思っている。
「うん」俺はそう答えた、しかし俺は正直言って親の期待とかはどうでもいい。俺が行きたいところに行くだけだ
「まあまあご飯は楽しく食べましょうよ」
母が言った
「そうだな、楽しい話をするか、ところで今日の野球はどうだった」
ここでいう野球とは今日の2時からやっていた試合のことだ。俺は野球父に比べてそこまで興味があるわけではないからスポーツ速報アプリで流し見をしていた、ちなみに試合は六対0で負けた。「ああうん軽く見てた」
「軽くとはなんだ軽くとは」
「しかたないよ二安打しか打ててなかったから」
実際試合はくそつまらなかった
「相手先発の三浦が良かったからな」
三浦とは今年防御率トップを走っている日本トップレベルのピッチャーだ。
「まあこっちの先発ピッチャーもダメだったと思うけど」
今日の先発は五回四失点でマウンドを降りていた、ちなみに俺はこの会話は接待のようなものと思っている。
もともと父親と合う話がない俺は合う話を探して野球を見始めた。実際はそこまで野球に興味があるわけではない。ちなみに母親は野球を見ていないため話に全くついていけずに暇そうにしている。そして父親は鈍感だからそれには気づいていない。「まああいつは先発六番手だからまあいいけど今日勝っとけば首位だったのにな」「まあそれは仕方ないよ」そんな話をしているうちに夕食が終わった。
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