第2話  いじめられていた少女、ストレス解消の為に異世界で殺戮しまくる

「私がこの世界を壊してあげるね!」


 と、私は世界中に向けて言う。


 事の発端はつい一ヶ月前だ。私はしがない学校でいじめられていた。


「おりゃあ」


 体を蹴られる。私の机は落書きまみれ、トイレの水を飲んだことも何回もある。

それがいけなかったのだろう。私はいつの間にか死んでいた。やっぱりウンコを食わされたのが原因だったのだろうか、病気であっさりとくだばった。


 異世界に来た瞬間私は思った。


「この力があれば世界滅ぼせるじゃん!」


 私には力があった。強大な力が。この世界を滅ぼせる力が。

 それはひとたび放たれれば、森を一つ消し去り、海を蒸発させ、地面を焦土と化す。

 何度か使ってみたが、やはり恐ろしいほどの力だ。


 早速いくつかの国を滅ぼした。民衆ごとすべて、一人残らず。

 だが、思った。これでは不十分だと。国が消されたとはいくつもの国で言われていたが、所詮私の名前など伝わっていなかった。


「間違えたのかな」


 そう、私と言う名前を残すために、生存者を作らなければいけなかった。それに悲鳴もあまり聞けなかった。 だから今度こそは人をいじめてから殺す。私のいじめられたうっ憤を晴らすために、私の存在を知らしめるために。

 そして私はある国の王宮へと向かう。


「らっしゃい、らっしゃい、安いよ!」


 王都へ向かうたびに賑わいを見せていた。王宮に近いほど、にぎやかだ。まあ、私には関係がないが。

とはいえ。ここに向かう途中でスラム街を何度も見た。全く、ここの治安はどうなっているんだ。まあ、今から滅ぼすから関係がないけれど。


「あの? 今日は祭りとかやっているんですか?」


とりあえず話しかけてみる。今日が特別にぎわっているだけと言う可能性もある。


「祭り? まあそうね。今日は建国記念日だからね」


 建国記念日が滅亡記念日になるのか。どうやら面白い国を見つけたようだ。これは、話題になるぞおおおお!


「あの、じゃあ。このソーセージをください」

「はいよ。三十ルビーね」

「すみません私お金を持っていないので、これで払っていいですか?」


 と、炎の弾をよく見えるように、店主の目に向け、見せつける。


「それは……どういう?」

「こういう事です!」


 すぐさまその炎の弾を屋台の女性にぶつけた。女性は悲鳴を出すこともなく、すぐさま蒸発した、皮も、肉も、骨もすべて。


「いただきます」


 と、誰もいなくなった屋台のソーセージをもぐもぐと食べる。


「おいしい!」


元居た世界のソーセージ波に美味しい。どうやらこの国は食が豊かなようだ。

だが、すぐさま食事は楽しくないものとなってしまった。


「ひいいいいいいいい」


 周りの人が叫び始めたからだ。「人殺し」「軍を呼ばなきゃ」「逃げなきゃ」など、たくさんの人の声が響き渡る。今更一人の女性を殺しただけだというのに。


「みなさーん。落ち着きがないですよ。もっとスマイル! 笑って!」


 もちろん笑えるわけがないだろう。私にとってはただの人間一人、こいつらにとっては大事な人間一人なのだから。全く、君たちもすぐに滅ぶことになるんだぞと言いたいところだ。


「これ以上騒ぎになっても嫌だし、王宮に向かうか!」


 と、私は王宮へと向かう。


「あなた、死んでくれない?」


 王宮に着いたら、兵士たちを剣で殺しまくって、玉座の間に来た。

そして、「なんだ、お前は?」などと言うべたなせりふを吐かれる前に炎の弾を国王に向けた。


「何だお前は?」


結局言われてしまった。面白くないよー、おっさん。


「口答えするな!」


 と、炎の弾を国王の足に向け、国王の足が燃える。


「うぎゃあああああああ」

「もう一度いう。口答えするな、何もしゃべるな」

「……」


 痛いのを我慢して必死に言葉をこらえているようだ。本当は今も叫びたがっているだろうに。


「かわいそうに。たまたま私という巨悪に目をつけられただけでこうなるなんて……」


 そしてそのまま王宮の外に出る。


「皆さん! 国王の命は私の手中の中です! 私がその気になればいつでもあなたたちを殺せます! どうでしょう。この足。血がだらだらと流れていてかわいそうじゃないですか? 誰かこの哀れな国王を助けてあげてください。さあこの、巨悪をあなたたちの手で殺すのです! さあ、ゲーム開始です!」


 そう私は言った。すると、重装備の兵士がどんどん王宮の中に入ってくる。しかし、民衆は動かない。


「あなたたちは自分では何もできないのでしょうか? すべてをあの兵士たちに任せるんですか? あなたたちには人の心はないんですか?」


 と言っても誰も動こうとしない。しょせんこれが現実だ。誰も死にたくはないものだ。


「うおおおお!」


 それに対してこの兵士たちは勇敢だ。負けるとわかっていながら、私に戦いを挑めるんだから。だけど、私には勝てない。自然の理だ。


「はあ!」


 兵士たちの腕は一瞬で吹き飛び、兵士たちはみな倒れた。ほとんどの兵士はかろうじて意識を保っていたが、ほとんどの兵士は意識を失った。当たり前だ。全員四肢決損させたんだから。まあ、殺してはいないけどね。


「さてと、王様! もうこれで奇跡は起きないわ! 今の気分はどう?」

「……」

「ああ、もう反論する元気もないか! まあ当然よね。民衆も逃げて、兵士もみなやられてもう。私に勝てる人なんていない物ね」


 と、城下町を見下ろす。もう誰もいない地面に向かって叫ぶ。


「みんなー! 今から国王を殺すよ! 今だったら人が死ぬところを見られるよ。楽しいよ。ぜひ、見てって!」


 と言っても誰も帰ってこなかった。この声は魔法で国中に聞こえているはずなんだけど。


「さて……」


 炎の弾を国王に向ける。


「言い残すことはない? 今なら国民みんなに拡散してあげるよ!」

「誰かこいつを殺してくれ!」

「いい遺言だね。さあ死ね」


 そして国王の遺体は骨も残らず消え去った。


「さてとみんな! 今から私が国王だからよろしく! まあまずわかってると思うけど、私に逆らったら死刑、私の悪口を言っても死刑。税金は毎年三十万ルビー。金払えなかったらみんな私の奴隷になるか、死刑ね。よろしく!」


 そして私は国王の椅子に座った。座り心地は悪い。

 ただ、一つわかることがある。この国には私を崇める人など居ない。武力で国を取ったから当たり前だが。

 とりあえず、部下が欲しい。大臣、将軍、何でもいいからほしい。


「誰か私の部下になる人はいない? 今なら年に一〇〇〇万ルビーあげるから!」


 ただ、誰からも返事は返ってこないだろう……と思ったが、お願いしますという人が多かった。皆お金には弱いのだろうか。


「じゃあ選別します。頭が賢い人上位一〇〇人と、武力が強い人上位一〇〇人に私の部下になる権利を与えます」


 そして、魔法でそれぞれの力を図る。


 まあ、でも、武力は戦いで決めないとね。


「じゃあ、希望者で殺し合いをしてください。そして生き残った一〇〇人が私の部下ね。じゃあ、ふぁいと!」


と、希望者をそばの広場にワープさせた。


「さあ、せいぜい私を楽しませてね。言っておくけど、私の満足できない試合したらどうなるかわかるよね」


そう強く威圧する。これで良い勝負をしてくれるだろう。

そして、私の号令と同時に、勝負が開始された。

一人ずつ、一人ずつ人が減っていく。だが、私には満足はできない。


「ねー、まだ死んでないよ? 死ぬまでやらないと。ほら、こーろーせー、こーろーせー」


やっぱり死がないとつまらない。異世界に来たんだから、死ぬほどの刺激がないと。そして、ポカーンとしてる戦士たちに「何やってるの? まとめて死にたい? どうする、戦うか死ぬか」そう低い声で伝えた。

そしたらみんないい感じに戦ってくれた。いいね、こういうの。

血が面白いように流れる。面白いほど人が死ぬ。面白いほど熱心に戦ってくれる。

なるほど、私をいじめてた人達も同じ気持ちだったのかもしれないなあ。

そしてそのまま選抜が終わった。


「君たちが選ばれし一〇〇人かー、いいねー君たち。筋肉ムキムキ。最高だよ!!!!」


そう言い放った。別に筋肉フェチじゃないけど、上質な筋肉は興奮させてくれる。


「さて、私の部下になったなら、早速攻めるよ。次の国を」

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