第15話騒動が終わってからの聖香の反応

平日の学校へと僕らは向かっている。

本日も僕は一人で登校しており静かな足取りで学校を目指していた。

通り過ぎていく学生たちが僕の顔面を見て険しい表情や憐憫の表情を浮かべていたことだろう。

殴られ蹴られた痕があまりにも酷かったのだろう。

僕も苦笑の様な表情を浮かべて目を背けていた。

様々な視線に晒されながら僕は無事に教室に到着する。


部活を終えた三枝リリは僕の顔面を確認すると急ぎ足でこちらに駆け寄ってくる。


「ちょっと…!何よ…その傷…」


心配そうな表情を浮かべる彼女に僕は何でもないように首を左右に振る。


「ゲーム内では飽き足らずに…現実でも格闘してしまったの?」


三枝リリは少しだけ冗談を言うようにして口を開くと僕の隣の席に腰掛ける。


「まぁ…そんなところだと言っておくよ…」


「全く…馬鹿なんだから…大丈夫なのよね?」


「あぁ。見た目ほど大した痛みはないんだ」


「それは痛み止めを飲んだり湿布をしているからじゃない?」


「まぁ。その通りなんだけどね」


「気を付けないと…もう喧嘩なんてやめてよ?」


「喧嘩じゃないんだけどね…気をつけるよ」


「そうなの?気を付けてね?」


それに一つ頷いたところで続々と部活を終えた生徒たちが教室にやってきて僕らの話は別の話題に変更されるのであった。



本日は何事もなく授業を終えた僕らだった。

全ての授業が終了して帰宅しようとしていたときのことだった。

鬼ギャルのメイクを施している聖香が僕らの教室に顔を出す。


「七星くん…一緒に帰ろう?」


本日彼女は僕を他人行儀に扱わなかった。

その様子をクラスメートは不思議そうに眺めていたことだろう。

少しばかり面食らっていた僕だったが…

どうにか頷いて返事をすると聖香と揃って教室を抜けるのであった。



「聖香さん…どうしたんですか?」


校門を抜けたところで僕は彼女に問いかける。

しかしながら聖香は何でも無いような表情で首を左右に振った。


「なにもないけど…この間のようなことが起きないように…

見張りと言うか…私の傍にいてほしくて…」


少しだけ照れくさい本音のような言葉を口にする聖香に僕も柔和な笑みを浮かべていたことだろう。


「もう何も起きませんよ」


断定的な言葉を口にして微笑んで見せても聖香は納得してくれない。

それもそのはずだ。

自分のせいで僕が傷ついたと思いこんでいる聖香に気休めの言葉は通用しないだろう。

それを理解した僕は彼女とともに同じ帰路に就くのであった。



本日も聖香は僕の傍を離れずに同じ帰路に就いている。

このままでは本日も僕の家に来そうだと思っていた。


「まさか…僕の家に来るつもりですか?」


「迷惑?」


鬼ギャルのメイクの下には僕を試すような挑戦的な笑みが隠れていたことだろう。

その表情を何故か理解できた僕はつばをゴクリと飲み込んでいた。

そして僕は首を左右に振ることしか出来ずに…

本日も聖香は僕の家に来ることが決定するのであった。



家を訪れた聖香はすぐにメイクを落として…



次回。

再び自宅にて…

僕と聖香は二人きり…

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