第14話好きと言われて…
「今日は色々とあって…目まぐるしい一日だったでしょ?」
家を後にすると聖香は少しだけ申し訳無さそうな表情を浮かべて口を開く。
「ですね。今までにない経験をしました」
「経験する必要がない経験だったと思うけど…」
「そんなことないですよ。次にピンチが訪れたとして…
今回の経験のお陰で殆どのことに恐怖を感じないと思います」
「でも…」
「良いんですよ。母親も言っていたじゃないですか。
男子ならこれぐらいの経験…なんてこと無いですよ」
「そう言ってくれると心が救われるけど…」
「本当に大丈夫ですよ。見た目ほど怪我も大したこと無いので」
「本当?」
「はい」
僕は無理にでも笑顔を貼り付けると聖香と並んで彼女の家までの道程を共に歩んでいく。
駅に向かうようにして歩いていた僕らだったが…
どうやら彼女らの家に到着したようで僕らは足を止めた。
「じゃあここで。今日は…」
「ごめんね。なんて言わないでくださいよ?」
「………じゃあありがとう…」
「はい。じゃあまた学校で」
「うん…私…」
「はい?」
言葉に詰まっている聖香に僕は問いかけるように言葉を投げかけると…
彼女は意を決したような表情で口を開く。
「好きよ…」
「えっと…」
「七星くんのこと…」
「あ…えっと…」
「答えは今すぐじゃなくていいから。じゃあね」
聖香は言い逃げるようにして家の中に入ってしまい残された僕は顔面が熱くなっていた。
殴られた場所が酷くじんじんと痛んでいる。
傷が痛んでいるのか…
それとも恥ずかしさのあまり顔面が熱いのか…
今の僕にはわからなかったが…
僕は黙って帰宅していくのであった。
次回。
僕らの関係に…
僕の心情に…
変化が訪れるのであった。
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