第7話トライアングル
ゲームセンターを抜けた僕と聖香だった。
彼女は現在鬼ギャルの姿ではなく聖母清楚の姿をしている。
道行く男性は聖香の姿を目にして振り返るように二度見を繰り返していた。
彼女の美しさに魅了されている男性たちの視線を僕が感じ取りながら…
聖香と共に先を歩いていく。
「あの娘は彼女ではないんだよね?」
聖香は僕の表情を覗き込むようにして尋ねてくる。
僕はやましいことなど無いので当然のように頷いた。
「そっか。それなら良いんだけどね。
やっぱり女子と仲良くしていると不安になるよ」
「不安ですか?」
「そう。女子ってそういう生き物だから」
「そうなんですね」
僕はまだ女心というものを理解できずにいた。
しかしながら僕が女子と仲良くしているだけで不安になるとは?
僕にはその意味が理解できずに少しだけ困ることしか出来ずにいた。
「私達の関係は恋人でもなんでもないけど…」
「そうですね」
「それでも…私の気持ち…わかるでしょ?」
「どうでしょうか…」
「わからない?」
「正直に言うと…わかりません」
「そっか…じゃあ今度しっかりと伝えるね♡?」
「はい…わかりました」
僕と聖香は少しだけ特殊な雰囲気に包まれながら…
ただ先を歩いていた。
「今月のバイト代はまだある?」
「ありますよ。無駄遣いはしていないので」
「偉い。じゃあ一緒に夕飯はどう?」
「良いですね。何が食べたいですか?」
「食べ放題の焼き肉は?」
「良いですね。行きましょう」
僕と聖香は駅前に存在しているチェーン店の焼肉屋に向かうと九十分食べ放題のメニューを注文して夕食を共にするのであった。
食事を終えた僕らは駅に向かい電車に乗り込んでいた。
「あの娘とは何のゲームをしていたの?」
「流行りの格闘ゲームです」
「そうなんだ。家でもやるつもりなの?」
「三枝が買ったら一緒にオンライン対戦をする約束はしています」
「そう…私も始めようと思うんだけど…」
「本当ですか?じゃあ一緒に遊びましょう」
「うん。色々と教えてくれるよね?」
「もちろんですよ。一緒に上手くなりましょう」
「あの娘と三人でやるんじゃないよね?」
「えっと…どういう意味でしょうか?」
「私と二人で遊んでくれるよね?」
「はい。それを望むのであれば」
「良かった。楽しみにしているね」
「はい」
電車は僕らを目的地まで運ぶとそれぞれの帰路に就くことになる。
僕と聖香は名残惜しい思いを感じながら…
その場で別れることになるのであった。
後日。
聖香と三枝リリは件のゲームを購入したようで僕に報告の連絡が来る。
その日から僕らはオンライン上でゲームを通して交流を図っていくのであった。
ここから僕と聖香と三枝リリの三角関係的な恋愛物語が展開しようとしていた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます