井戸のを底をのぞいたら……~恐怖ホラー!~

kenken

第1話 井戸の中をのぞいたら


 私の学校の裏山には井戸がある。そこは行っても、言葉にしてもいけない場所だった。なぜなら、呪われるからだった。いつか同じ学校の生徒が、その井戸の噂をしていたことがあった。彼らは、何気なくお喋りしていただけだったかもしれない。だが、彼らは数日間、失踪し、病院で目を覚ますことになった。

 井戸の噂は、静かに語り継がれていた。なぜ、そんな危険な噂が語り継がれるのか、それには理由があった。

 井戸の底を覗くと、自分の未来が見えるらしい。それはつまり、自分がこの先訪れるであろう未来を、垣間見ることだ。それはつまり、この先、訪れる重要な決断を覗くことだ。人生を楽に生きれると言うことだ。それはつまり、この先訪れるであろう、人生の不幸を回避できるということだった。

 健斗は今現在、中学生だった。悩みと言えば、人生に希望を見いだせなかった。何のために勉強し、学校に行くのか、生きる事の意味に悩んでいた。

 そして、ある決断にたどり着く。

 それは……井戸に行って自分の未来を垣間見ればいいのだ。

 まるで浅はかな考えだと思った。

 中学生ならではな安直な考えだともいえた。

 健斗は、学校が終わると、裏山にある井戸に向かった。この日は、専門委員があり、いつもより遅く終わった。陽が暮れかけている。初夏だというのにまだ日の入りが早かった。

 井戸に着くと、冷気がただよっていた。

 健斗は、身体を震わせた。何だか急に怖くなってきた。陽も沈んでしまい、見知っている場所に感じなかった。

 深呼吸して、井戸を見つめた。井戸にはふたが掛けられていた。それに、蓋には南京錠なんきんじょうで鍵がかけられていた。

 悪いことだと分かりながら、拳より大きめの石を拾った。そして、南京錠に向かって、振り下ろした。まだ、引き返せると心で思っていた。でも、ここまで来たのだから、引き返せないという気持ちがあった。

 健斗は何度も何度も石を振り下ろした。

 その結果、錆びついていた南京錠が高い音を手て壊れた。

 ドキリとした。誰かに見られるているような気がした。だが、そんなはずはなかった。大きく深呼吸した。それから、目をつぶると、思い切って、南京錠を外した。まだ、引き返すことはできる。頭の中に、友達の噂話が過る。井戸は、呪われている。井戸の噂をして、病院送りになった生徒もいる。様々な思いがよぎった。

 ふたに手をかけると、勢い良く開いた。すると、井戸の奥底が見えた。暗く、うっすらと光を反射ししている。そこに、何か見えた。

 健斗は、浮かび上がる様々な雑念を捨てると、深く体を突き出して、井戸の底をのぞき込んだ。

 次の瞬間、井戸の底から無数の手が伸びてきて、健斗を井戸の中に引きずり込んだ。健斗は、抵抗できぬまま、井戸の底に落ちて行った。

 

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