第37話 海風にのせて
四月の太陽は温かく心地よい。二人だけの婚礼を終わらせた私は
…山代王様は元気でお過ごしかしら…
「
突然背後から声がし、息を切らした
「ごめん、山菜を探していたのだけど結局ここまで登ってきてしまったのよ。でも見て、こんなにタラの芽を摘んだのよ」
籠いっぱいのタラの芽を
温かな風が吹き抜け地面に散らばっていた何枚もの桜の花びらが一斉に舞い上がった。
季節は五月になり強い日差しをうけた新緑はキラキラと輝き、爽やかな南風が額の汗を乾かす。
「ねぇ、
「そうですよ。
そうなのだ、先日不運にも百済大寺の九重塔は落雷を受け大部分を焼失してしまったのだ。先帝である今は亡き
「都だけでは人員が足らず、近江や越から沢山の民を招集して宮殿の造営と大寺の復旧にあたらせているので、都中人々でごった返しているのでしょう」
「そうだったのね…
私は竹かごに入った菊をいじりながら呟いた。
「私も詳しくはわからないのですが、ちまたの噂では
私は平然な顔で“そう”とだけ答えうつむいた。
そもそも蘇我氏は外交のプロだ。渡来人たち技術者集団をまとめ、
手に取った乾いた菊がパラパラと指の隙間から落ちた。
飛鳥寺横に建つ朝堂院の片隅で
「父上、何故そんなにお怒りなのですか?もう少し冷静になり
「林太郎、そなたは長らく
「当然ながら
「まぁ、
「山代王様が?」
「さようだ。確かに本来であれば年齢も朝廷での経験も実力も
「所でそなた、大唐と朝鮮三国の情勢はどうなっている?そなたの抱える問題の方こそ難儀であろう?」
「はい、昨年に引き続き朝鮮三国での政変が勃発しております。大唐の膨張への懸念からでしょう。百済が新羅への侵攻を深めており、つい先日も
「ふーむ、そなたの意見も一理あるな。見極めるのが難しい局面だ…引き続き注視してくれ…あと、
「承知しております」
「私はもう一度、
「父上、今日は朝議後に
「そうであったか…そなたは実に勉学に熱心であるな。仕方あるまい…もし
「承知しました」
予定よりも随分長引いたな…今日も
朝堂院を出た
「
「はっ、はい」
その声に飛び起きた
学堂に向かう道の先から数人の男達が一列で歩いてくる。後ろには荷馬車が引かれている。
パカッパカッ…ヒヒーン、ドウドウ…
「どうしたのだ?…あっ…」
若い男は
「
若い男が愛想笑いを浮かべて
「
「先日は突然朝廷に馳せ参じてしまい、失礼をいたしました。百済の行く先を考えると居ても立ってもいられなくて…」
「先日も申したとおり朝鮮三国と大唐との情勢は緊迫している。ゆえに我が国としてもより一層の慎重さが必要なのだ」
「…はい、わかってはいるのですが…」
「ところで、何故こんな奥まった田舎にいるのだ?」
「はい、
「そうだな…だが我が国を見てみろ、技術力は及ばずとも何よりも平穏である」
「そうですね、全ては
「ふんっ、口がうまくなったな。気を付けて帰られよ」
「はい、ありがとうございます」
「若様、最近あのお二人ですが、頻繁に
「お三方とも実に優れた国の学者だ。皆が話を聞きたがるのは当然だ。大唐や朝鮮三国の話がよほど刺激的で面白いのだろう。特にあの二人は百済への思い入れが強いからな」
「えぇ…もちろんそうなのでしょうが、気になるのは…その…」
「ん?どうしたのだ、はっきり申さぬか」
「はい、最近ではその場に
「
「…そ、そうでございますね」
更に山ひとつ越えた所で、飛鳥川沿いにひっそりと建つ藁ぶき屋根の小屋が見えてきた。門の前で手を大きく動かし何かを熱く語り合う数人の若い男達が見える。彼らは
「
「当然だ。学ぶことが多いからな」
「おぉ、林太郎来たか、久しぶりであるな。さぁ、中にはいりなさい」
「
「先生、ご無沙汰しております。なかなかゆっくりとご挨拶ができずにいて心苦しく感じておりました。此度は朝鮮三国や大唐と上手く折り合いをつける為に、先生から良い知恵を拝借したくやって参りました」
「此度の難波大群には随分と長く滞在したようだな、状況が状況だけに大唐の使節団をとりなすのはたいそう苦労したであろう。属国になれとせがまれたのでは?」
「はい。しかし倭国は朝貢すれども冊封は受けないと強く主張したものですから反感を買いました」
「ハハハッ…山代王も過去に大唐の特使をえらく怒らせた時があったな…しかしだ林太郎、そなたも懸念するように大唐は実に強靭な大国だ。今でこそ、朝鮮三国の争いに目を向けているがいつ倭国にも侵攻してくるかわからぬ。どの国につくのが得策か慎重に見極めねばならぬ誠に難しい局面に立たされている…」
「先生はどう思われますか?大唐に譲歩するべきでしょうか?新羅もまた我が国に協力要請を申してきました。高句麗もしかりです。私としては、今までのように百済一辺倒ではなく、同じ距離を保った均衡外交の必要性があると感じております」
「しかしだな…我が国は長年に渡り百済との蜜月の関係を保ってきている。百済より渡来した民や技術者も数多く、飛鳥だけではなく葛城や近江など各地にちらばり村を形成している。高い技術や文化を惜しみなくこの倭国にもたらしてくれた彼らの祖国である百済をないがしろにはできまい」
「…重々承知しておりますが…朝鮮三国と大唐の争いは日々激しくなっており下手に介入してしまっては我が国も危険にさらされるかと…」
「その気持ちも理解できる。しかし我らの祖先も朝鮮の同じ郷里出身ではないか…祖国の争いを対岸でただみているだけではすまされぬ…」
「しかし、我ら蘇我家がこの倭国に渡ってきたのは何代も昔の事…時がたった今ではすでに骨の髄まで倭国人です。この国の防衛強化にこそ財力を注ぐべきだと思うのですが…」
「まぁ、それも一理あるが、各地の百済出身の豪族達が何と言うか…この国の発展も経済もほぼ彼らがもたらしている。
「はい…しかし慎重な見極めが必要かと…」
「ふ~む、百済出身の豪族達が徒党を組み声を荒げねば良いのだが…彼らを説得するのは至難の業だ…」
チュンチュン、チュンチュン
朝ね…
「
戸の向こうから
「えぇ、今起きたわ。朝早くからどうしたの?」
私は寝ぼけた目を擦りながら彼女に尋ねた。昨夜の眠りが浅かったせいか軽い頭痛を感じこめかみを指で押さえた。
「今、
「わかったわ、すぐに行くわ」
私は軽く身なりを整えると急いで門の外で待つ
「
「いいのよ、
「はい、昨日
「…そう、いいのよ。あなたも大変だったわね。近頃は朝廷も都もバタバタしているでしょう?しっかり休んで頂戴」
「ありがとうございます、本日は必ず帰宅すると若様が申しておりました」
「わかったわ。今すぐに着換えを用意してくるから、待っていて」
「はい、すみません」
夕方、
「今帰ったよ」
「おかえりなさい。あなたの好きな蓮根の汁といわしの煮付けを作ったのよ…今すぐ運ぶわ」
私が厨房に向かおうとすると、彼は私の腕をつかみ肩に顔をうずめ小さく囁いた。
「もう少しだけ、このままで…」
肩にもたれた彼から今にも寝息が聞こえてきそうだ。
夕方の陽ざしが照らす中、私は彼の体をしばらく抱き留めた。
チュンチュン、チュンチュン
今日も朝からメジロの可愛らしい声が聞こえてくる。厨房からクツクツと音がし良い香りが廊下いっぱいに漂った。
「
私が慌てて厨房に行くと、
「
「んん、まだ寝ているわ。きっと連日の疲れが出ているのよ。今日は朝廷には行かないそうだからゆっくり休んでもらうわ…」
私はもう一度あくびをすると彼女が入れてくれた菊茶をすすった。
昼近くになりようやく
「
彼は空高く昇った太陽を眩しそうに見た。
「お休みの日くらいゆっくり休んで欲しいのよ」
私が口を尖らせて言うと、
「
今日の彼は珍しくしおらしい。
「
私は“聞き分けがいいのよ”と言わんばかりに眉を上げて得意げに答えた。
「
私は少し沈黙したあと口を開いた。
「
「難波の海?」
「えぇ、いつもあなたが到着を待つ朝貢船を見たいわ。あなたがどんな想いで、異国から来る船を待つのか私も感じてみたいのよ、いいでしょ?」
「私の仕事を見たいというのか?ふんっ、ちっとも面白くないぞ…」
「お願い、この通り」
私が胸の前で手を合わせ懇願すると、
「…ふぅ、そなたは実に変わっているがそこが他の女人と違う魅力だ。そなたの願いだ、もちろん受け入れるよ。早速支度をして明日の早朝出発しよう」
「やったーー!!」
私は子供のように甲高い声をあげ両手を高く掲げ喜んだ。現代では通用するこの喜びポーズも後宮だったら侍女達が血相を変え飛んできて、下品ですよ!と、口を揃えて言うだろう。不思議と彼はなんとも思ってないのか指摘されたことはない。むしろ私の行動がもの珍しいのか肩をすくめて笑っているようにも見える。よって彼の前では本来の自分の姿に戻る事が出来た。それに心の奥底を見せるのも怖くなかった。
翌朝私たちは馬に旅の荷物を乗せ甘樫丘の邸宅を出発した。
なんて良い天気なのだろう…これってハネムーンかな?私は心の中でにやけワクワクと胸を弾ませた。
「
「あら失礼ね。私の乗馬の腕を知っているでしょう?はっっ!!」
私はフンッと鼻で笑ったあとニヤリと彼を睨み、馬の腹を勢いよく蹴りあげた。
「おっ、お転婆め!!」
彼は私の悪そうな顔を見るとわざとらしく眉をひそめ馬の手綱を勢いよく引いた。
私達は時々休憩を挟みながら、ゆっくりと馬を走らせた。どこまでも続く青々とした水田の中を通り過ぎ、いくつもの集落や林の中を通り抜け難波の海を目指した。
ヒューッと湿った風が私の頬を撫でた。
「
私が言うと、彼は驚いたように目を丸くし答えた。
「さようだ、もうすぐ難波の海が見える。そなた海を見るのは初めてであろう?よくわかったな」
「えぇ…」
懐かしい潮の香り…
しばらくすると小高い丘の上に出た。
「海だわ…」
私は馬を止めると、午後の日差しを浴びてキラキラと輝く海を見渡した。白波の中に白い帆をたてた小さな船がいくつも見える。
あぁ、なんて気持ちが良いのかしら…海は本当に久しぶり。潮の香りが体中に沁みわたる…
私達は馬の手綱を道の端にある丸太の木にくくりつけると、海岸まで歩いて降りた。
「
砂浜に出た私は草履を脱ぎ捨て海の中へと入っていった。初夏を迎えたばかりの海水はまだ冷たかったが、嬉しくてバシャバシャと海水を救いあげた。
「と、
「かまわないわ!風変わりな所が私の魅力なのでは?」
私は振り返るとわざとおどけてみせた。
「まったく、そなたにはかなわん…」
彼も裸足になると、私のあとに続き海の中へと入ってきた。私達は水しぶきを上げながら童心に戻ったようにはしゃいで遊んだ。
「
「えぇ」
私達はさっき降りてきた坂道をゆっくりと上った。そこから少し歩いた道沿いに小さな建物が見えてきた。
「あそこに見えるのが私の別邸だよ。使節団をもてなす迎館はもう少し先の海から離れた内陸にある」
太陽の光が十分に差し込む家の中は明るく、大唐や朝鮮三国から持ち込まれた家具や珍しい調度品が並んでいた。
「わぁ、凄い…ここの物は倭国ではなかなか見ることがないわね」
私は目の前の棚に置かれた美しい青磁の器を手に取った。
「全て大唐と朝鮮三国から持ち込まれた調度品だ。いずれ都に運び入れるつもりだ。使節団が滞在する迎館にはもっと貴重な朝貢品の品々が保管されているのだ。それらも近く都に運び入れる手はずになっている」
「あなたは外交のエキスパートね」
私は手に取った青磁の器を眺めながら言った。
「エキスパート?なんだその言葉は…」
彼は荷物をほどきながら怪訝そうに私を見た。その表情が可笑しくて吹き出してしまった。私は慌てて口を押え言葉を付け加えた。
「ある物事に非常に特化した秀逸な人という意味よ」
彼は目を細め疑うように私を見るとフンッと鼻で笑った。
「大唐や朝鮮三国からの高い技術力がこの国の発展につながっている。どんどん取り入れるつもりだ」
「
私は少しためらいながら彼に尋ねた。
「何も心配いらぬ。我が国が無益な戦に参戦して何が得られるというのだ。私は、民やそなたが安心して暮らせるようにこの国を全力で守りたい」
彼はそう言うと優しく私を抱きしめた。
ザザーザザー、、、、ザザァ
朝になり遠くから波の音が聞こえる。部屋の中はすっかり明るい。私は隣に
いったいこんな朝早くからどこに行ったのだろう…
私は身なりを整え外に出た。馬屋に馬がつながっている所を見ると徒歩でそう遠くへは行かないはず。私は昨日、彼と訪れた砂浜に向かい歩き始めた。
太陽の強い日差しを受けた海面がキラキラとプリズムのように輝いている。潮の香りが全身を包み込み心身を浄化していく。青空の中を飛ぶトンビさえも愛おしく思えた。砂浜へと続く坂道に差し掛かった時、前方に
私の姿に気が付いた彼が砂に足を取られながら走ってくる。
「
天ぷらで食べたいという欲望を掻き消しながら私達は家に戻り調理に取り掛かった。
時間はたっぷりある、優雅なブランチでも取ろう。
二人だけの時間がゆっくりと流れる。こんなにゆったりとした時間を彼と過ごすのは初めてだ。都では毎日忙しくて、なかなかゆっくり話す事もできなかった。
彼が
午後の日が傾きだした頃に私達は再び海岸へと向かった。大きな白い帆の船が海岸に見える。
「
「おそらく百済からの渡来船であろう…」
船の周りに数人の百済人らしき男達と役人の恰好をした男が身振り手振りで何かを伝えようとしている。
「ねぇ、あの人達どうしたのかしら?何か困っているんじゃない?」
私は額に手をかざし彼らの様子を観察しながら言った。役人の男が頭をボリボリとかいている。
「
「通訳官がいないのだろう…まぁ誰かがなんとかするさ、、私は休暇中だ」
けだるそうに言い砂の上にゴロンと寝転がった。
「
私が目を細めジーっと彼の顔を見ていると、その視線が嫌だったのか、
「…まったく!そなたのお節介さは究極だ!」
「どうしたのだ?」
彼がぶっきらぼうに倭国人らしき男に尋ねた。
「あっ、これは
男が目を丸くして言った。
「良いから、どうしたのだ?」
「へい、それが、見ての通り百済からの朝貢船なのですが、本日担当の通訳官が具合が悪く来ていないのです。積み荷の詳細がわからずに途方に暮れております」
男は困った顔をして下を向いた。
「まったく…どれ、積み荷は…さほどないな…私が通訳するから書き留めよ」
「えっ?!よろしいのですか?!」
男は信じられないという様子で口を開け
「仕方あるまい、他に訳せる者はおらんのであろう?」
「そ、それは、大変助かります。ありがとうございます」
男は肩を撫で下ろすと額にびっしょりとかいた汗を袖で拭った。
「
彼が残念そうにこちらを見た。
「もちろんよ。
私は悠長に答えると近くにあった平たい岩の上に座った。
「すまぬな」
彼は優しく微笑み男達と船の中に入っていった。
美しい夕焼けが水面を照らしている。彼はまだ積み荷の近くで手を荷に向けながら指示を出している。
素敵ね、、
私は横に並んだ岩にもたれた。
「
「終わったの?」
私はあくびをしながら尋ねた。
「ああ、退屈だっただろう?」
彼は首に巻いた手巾を外しやれやれというように顔を拭いた。
「そんな事ないわ、働く姿のあなたは悔しいけど素敵だったわ」
「私の仕事姿が?そんなウソは通じぬぞ、証拠に居眠りしていただろう?」
「本当に素敵だったわ。なんだかとても穏やかな気持ちで心地よくて、少しウトウトしただけよ」
私が口を尖らせ頬を膨らませると、彼はようやく笑顔を見せ、
「ならばそう言う事にしよう…あと百済の酒をもらってきたから一緒に飲もう」
腕に抱えた袋の中から酒瓶と木の椀を取り出し、なみなみと酒を注いだ。白く濁った酒からほんのり甘い香りが漂う。恐る恐る口に含んでみると、
「んっ?ほんのり甘くて美味しいわ、なんていうお酒かしら?どんどん飲めそう…」
私はぐいぐいと酒をあおった。
「こら
「
私も目を細めて皮肉めいたように言った。
もう酔ってしまったのだろうか?体も心も温かくて、ふわふわと良い気分だ…
「なんと悪そうな顔を…顔が真っ赤だぞ。まったく…」
「あら私全然酔ってなどいないわ。そうだ、あなたに私の最大の秘密を教えるわ…」
「酔っ払いさん、なんなのだ?」
「私ね…実はこの世界の人間ではないのよ…ふふっ。アハハ…」
「それ見たことか!酔っているではないか!あれほど言ったのに…」
「私ね、何を隠そう1400年後の未来から来たのよ。ふふっ…」
「その話は以前も聞いたぞ、そなた酔うとすぐその話をするのだな」
「で、どのような世なのだ?」
「ふふっ…私が来た世界はね、争いもなく、みな平等に機会が与えられるの。身分の差もなく、人々が疫病で死ぬこともほとんどないのよ…でも、あなたの居ない世界だわ…」
私は小さく息を吐き彼の肩にもたれかかった。
「…
「わかる。必ずあなただと気づくわ」
私がそう答えると彼は黙ったまま私の肩に手を回しふたたび海を見つめた。
沈む夕日に照らされた水面がキラキラと光り、真っ赤な空をウミネコの群れが西に向かい飛んでいく。
ザザァ…ザザァ…
波の音だけが静かに響いている。
「
「もう少しだけ日が沈むのを見たいわ…」
私は立ち上がった彼の腕を引っ張り再び隣に座らせ肩に寄りかかった。
「
私は太陽が沈んでしまった水平線を見つめながら呟いた。彼は一瞬私を見ると再び目線を海に向けた。
「それも悪くないな…そうだな…時が来たらこの地に移り住もう…」
「すぐに越して来たいわ」
私が顔を上げ真顔で見ると、彼は一呼吸し黒く澄んだ瞳で真っ直ぐに私を見つめた。
「
「
涙がとめどなく溢れる。彼がこんなにこの国を守ろうとしているなんて知らなかった。
「ど、どうしたのだ?」
「あなたなしでは生きていけない…」
「大丈夫だよ、私は死なないし必ずそなたを守る」
なんて温かなんだろう、神様どうか彼を守って…
夜空一面に満天の星がキラキラと輝き始めた。
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