第19話 悪霊との最終対決
佐々木一輝、藤本蓮、小川葵の三人は、儀式の準備を整え、呪いを解くための広場に立っていた。周囲の青い光が強まり、囁き声が一層大きくなっていた。冷たい風が吹き込み、悪臭が漂う中、三人は決意を新たにした。
「さあ、始めよう。」一輝は深呼吸をしながら言った。藤本と葵もそれに頷き、呪文を唱え始めた。巻物に記された古代の文字が彼らの声に反応し、光を放ち始めた。
儀式が進むにつれ、周囲の環境が急激に変化していった。地面が揺れ始め、青い光がさらに強くなり、悪霊の姿が徐々に現れ始めた。その姿は恐ろしいものであり、一輝たちに向かって怒りに満ちた目を光らせていた。
「気を付けて!守護霊が近づいている!」藤本は警告した。悪霊は猛烈な力で攻撃を仕掛けてきた。一輝は冷静さを保ちながら、呪文を唱え続けた。葵もまた、自分の体調が悪化する中で必死に呪文を唱え続けた。
「この呪いを解くためには、全員の力が必要だ。」一輝は心の中で決意を固めた。悪霊の攻撃はますます激しくなり、彼らの周囲の空気が一層冷たくなった。まるで死の気配が彼らを包み込んでいるかのようだった。
突然、葵の体が激しく痙攣し、彼女の口から再び血が溢れ出た。「葵さん!」一輝は驚愕し、彼女に駆け寄った。しかし、葵は力強く頷き、自分の役割を果たすために呪文を続けた。
「藤本さん、最後の呪文を!」一輝は叫んだ。藤本は全力を振り絞り、呪文の最終部分を唱え始めた。悪霊は一層強い力で攻撃を仕掛けてきたが、三人の意志は揺るがなかった。
「これが…最後の戦いだ!」一輝は心の中で叫び、全力で呪文を唱え続けた。青い光が一段と強くなり、悪霊の姿が次第に消え始めた。最終的に、悪霊は激しい光の中で消滅し、広場は再び静寂に包まれた。
しかし、その瞬間、広場全体が激しく揺れ始めた。壁に亀裂が入り、天井から石が落ちてくる。「部屋が崩壊し始めている!」一輝は叫んだ。「早く逃げ出そう!」
三人は急いで立ち上がり、崩れ落ちる石や瓦礫を避けながら出口へと向かった。藤本は息を切らしながらも一輝に支えられ、葵もまた必死に走った。彼らの後ろでは、天井が崩れ落ち、地面が激しく揺れ続けていた。
「急いで!」一輝は叫びながら、何とか出口にたどり着いた。三人は外の冷たい空気を吸い込み、息を整えた。背後では遺跡が完全に崩壊し、青い光が消えていった。
「終わった…本当に終わったんだ…」一輝は息を整えながら呟いた。藤本と葵もまた、安堵の表情を浮かべながら頷いた。
「この呪いは解かれた。でも、まだ何かが残っている気がする…」藤本は弱々しく言った。「何か大きな力が…まだ私たちを見ている…」
一輝はその言葉に考えを巡らせながら、藤本と葵を支え、遺跡を後にした。彼らの前には、新たな挑戦と恐怖が待ち受けていることを感じながらも、今は一息つくことに決めた。
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