第18話 儀式の準備

佐々木一輝、藤本蓮、小川葵の三人は、呪いを解くための道具と巻物を手に入れた後、遺跡の安全な場所に戻り、儀式の準備を始めた。外では依然として激しい雨が降り続けており、その音が遺跡内に響き渡っていた。


藤本はまだ体調が悪く、息を切らしながら巻物を読み上げていた。「この儀式には、特定の道具と呪文が必要だ。これが全て揃えば、呪いを解くことができる…」


一輝は藤本の指示に従い、必要な材料と道具を揃え始めた。その時、葵が再び胸を押さえて苦しみ出した。「何かが…また来ている…」葵は震える声で言った。彼女の顔には明らかな恐怖と痛みが浮かんでいた。


「葵さん、大丈夫ですか?」一輝は心配そうに声をかけた。


葵は苦しそうに首を横に振った。「匂いが…あまりにも強すぎる…」彼女は鼻を押さえながら言った。その瞬間、一輝も強烈な悪臭を感じた。まるで腐った肉と腐敗した野菜が混ざり合ったような、その匂いは、鼻腔を突き刺すほど強烈だった。


「これは…ただの腐敗臭ではない。」藤本は息を切らしながら言った。「呪いの影響かもしれない…」


その時、壁から再び血のような液体が滴り落ち始めた。液体は濃厚で、鉄臭い匂いが強烈に漂った。一輝はその光景に息を呑み、恐怖と不安が一気に押し寄せた。


「急がなければならない。」一輝は冷静さを保ちながら言った。「この儀式を完了させて、呪いを解かなければ…」


三人は儀式の準備を急いだ。藤本は呪文の正確な発音と手順を確認し、一輝と葵に説明を始めた。「呪文はこの順序で唱えなければならない。そして、この道具を使って結界を作るんだ…」


突然、葵の体が激しく痙攣し始めた。彼女の口から血が溢れ出し、地面に赤い染みを作った。「葵さん!」一輝は驚愕し、彼女に駆け寄った。


「霊が…私に…」葵はかすれた声で言った。「彼らの声が聞こえる…彼らは助けを求めている…」


「しっかりして、葵さん。」藤本は葵の手を握りしめた。「この呪いを解くためには、あなたの力が必要だ。」


一輝は冷静さを保ちながら、藤本と葵を支えつつ、再び歩みを進めた。彼らの前には、儀式の場となる広場が広がっていた。広場の中央には、古びた石の台があり、その周囲には奇妙な紋様が描かれていた。


「ここで…儀式を始める。」一輝は低く呟いた。「これが最後の戦いだ。」


三人は広場に立ち、儀式の準備を整えた。青い光が再び強くなり、囁き声が一段と大きくなってきた。彼らの前には、さらなる恐怖と謎が待ち受けていた。

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