第15話 雨の予兆
佐々木一輝、藤本蓮、小川葵の三人は、遺跡の中でさらなる調査を進める中、藤本の体調悪化という不測の事態に直面していた。外では、突然激しい雨が降り始め、その音が遺跡の中に響き渡った。
藤本はまだ苦しんでいたが、一輝と葵の支えを受けながら、何とか自分の足で立っていた。「この呪いは私の体内に侵入しているようだ…」藤本は息を切らしながら言った。
「藤本さん、このままでは危険だ。外に出て一息つくべきだ。」葵は心配そうに藤本を見つめた。
「いや、今は進むしかない。」藤本は苦痛に顔を歪めながらも決意を示した。「ここには何か重要な手がかりがある。見つけるまでは諦めない。」
その時、廊下の奥から冷たい風が吹き込み、雨の匂いが漂ってきた。一輝はその匂いに違和感を覚えた。まるで普通の雨の匂いではなく、何か異質なものが混じっているような感じがした。
「この匂い…何かがおかしい。」一輝は低く呟いた。彼はそのまま進み、廊下の奥にある扉を開けた。扉の向こうには、さらに深い遺跡の内部が広がっていた。
部屋の中央には、再び青い光が漂い、古びた石の台が置かれていた。その台の上には奇妙な模様が刻まれており、周囲には古代の文字が散らばっていた。
「ここに…何かが隠されているはずだ。」藤本は苦しみながらも、手元の書物を開き、古代の文字を解読し始めた。「これらの文字は、強力な呪文を記したものだ。これを使えば、呪いを解くことができるかもしれない。」
その時、葵が再び霊の存在を感じ取った。「何かが近づいている…」彼女は不安そうに言った。突然、部屋全体が激しく揺れ、青い光が一層強くなった。
一輝は冷静さを保とうと努めながら、藤本に尋ねた。「呪文を唱えるために、何が必要なんだ?」
藤本は必死に古代の文字を読み解きながら答えた。「この呪文には、特定の道具と呪文の正確な唱え方が必要だ。その道具がどこにあるのかを見つけなければならない。」
その瞬間、藤本の体が再び痙攣し始めた。彼の顔は痛みに歪み、冷たい汗が額を流れ落ちた。「早く…この部屋から出よう…」藤本は弱々しく言った。
一輝と葵は藤本を支えながら、部屋を後にし、外の雨の中へと戻った。雨は激しく降り続け、冷たい風が彼らの体を貫いた。
「藤本さん、大丈夫ですか?」葵は心配そうに尋ねた。
藤本は深呼吸をしながら頷いた。「何とか持ちこたえている。でも、この呪いは強力だ。何とかして解かねばならない。」
その時、一輝の耳に再び囁き声が聞こえた。「まだ終わっていない…」その声は冷たく、一輝の心に深く刻まれた。
「この呪いを解くためには、さらに奥に進むしかない。」一輝は決意を新たにした。「何が待ち受けているかはわからないが、手を引くわけにはいかない。」
突然、廊下の壁から血のような液体が滴り落ち始めた。その光景に三人は息を呑んだ。液体は濃厚で、鉄臭い匂いが強烈に漂った。
「これは…一体…」葵は震える声で呟いた。
「呪いが…目覚めている。」藤本は苦しみながら言った。「急がなければ、私たちも危険だ。」
一輝は冷静さを保ちながら、藤本と葵を引き連れて廊下の奥へと進んだ。青い光が一層強くなり、囁き声が一段と大きくなってきた。彼らの前には、さらに深い謎と恐怖が待ち受けていた。
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