第13話 新たな呪いの兆し

佐々木一輝は、屋敷の呪いを解いた後、村に戻り新たな生活を始めていた。平和な日々が続く中、彼の心にはまだ何かが残っているような不安があった。ある日、近隣の町からの訪問者が一輝を訪ねてきた。


「佐々木さん、あなたに助けを求めに来ました…」訪問者は怯えた表情で話し始めた。訪問者の名前は村井拓哉。彼は近隣の町に住む商人で、その町で起きている奇妙な現象について一輝に説明しに来た。


「近くの町で奇妙な現象が起きているのです。建物や道端に奇妙な紋様が浮かび上がり、人々が不安を感じています。さらには、夜になると腐敗臭が漂い、何者かの囁き声が聞こえるのです…」


一輝はその話を聞き、胸の奥に再び不安が芽生えた。「それは古代の儀式と関係があるかもしれません。調査してみましょう。」一輝は村井にそう答え、翌日、町へ向かう準備を整えた。


町に到着した一輝は、すぐに奇妙な現象を目にした。建物の壁や道端に浮かび上がる紋様は、彼が以前に見たことのある古代の儀式の模様と一致していた。腐敗臭が漂い、まるで何かが腐っているかのような強烈な匂いが立ち込めていた。


一輝は町の古い図書館を訪れ、古代の儀式についての書物を調べ始めた。その中で、彼は過去にこの町でも同じような呪いが発生していたことを知る。書物には、古代の霊媒師がその呪いを封じ込めるために行った儀式の詳細が記されていた。


「これは…ただの偶然ではない。」一輝は呟いた。「過去と現在の呪いには何か深い繋がりがある。」彼はその書物の中で、呪いを解くための手がかりを見つけ出そうと決意した。


調査を進める中で、一輝は新たな仲間と出会った。図書館で古い書物を調べていると、一人の男性が声をかけてきた。


「それは興味深い書物ですね。古代の儀式について調べているのですか?」声の主は藤本蓮だった。彼は古代の呪文や儀式に詳しい研究者で、一輝に協力を申し出た。


「藤本です。古代の儀式に関して研究をしている者です。もしよろしければ、一緒に調査をさせていただけないでしょうか?」


一輝はその提案を受け入れ、二人は共に調査を進めることにした。藤本は彼の知識を駆使し、一輝の調査に大いに貢献した。


さらに、町の霊廟で一輝と藤本が調査を続ける中、霊感が強い少女、小川葵と出会う。彼女は霊とコミュニケーションを取る能力を持ち、呪いの兆候を敏感に感じ取っていた。


「あなたたちも呪いのことを調べているのですね?」葵は慎重に声をかけた。「私の名前は小川葵です。この町で起きている現象について、何か感じることがあります。」


葵の助けで、一輝と藤本は霊からの警告やメッセージを受け取ることができるようになり、調査が一気に進展した。


「一緒に戦おう。」一輝は二人に言った。「この呪いを解くために、全力を尽くそう。」


しかし、一輝の心にはまだ不安が残っていた。過去の霊媒師の日記には、呪いを完全に解くためには強力な儀式が必要であると記されていた。その儀式には、強力な呪文と特定の道具が必要であり、それらを見つけ出すのは容易ではない。


一輝は藤本と葵と共に、町の古い遺跡を訪れ、そこに隠された霊媒師の遺産を探し始めた。その途中で、一輝は不思議な既視感を覚えた。まるで過去にこの場所を訪れたことがあるかのような感覚が彼を襲った。


「ここに何かがある…」一輝は呟いた。「過去の霊媒師が残した何かが…」


その時、一輝はふと耳元に囁き声を感じた。「お前はまだ終わっていない…」その声は一輝の心に深く刻まれ、彼の体は恐怖で震えた。彼はその場に立ち尽くし、藤本と葵に声をかけることもできなかった。


「何かが…まだ残っている…」一輝は自分に言い聞かせるように呟いた。そして、彼は新たな恐怖と謎に立ち向かう決意を新たにした。

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