第10話 影の囁き

佐々木一輝と霊媒師の斎藤真紀は、屋敷の奥深くへと進み、悪霊を完全に封じ込めるための手がかりを探し続けていた。彼らは不安定な静寂に包まれながら、次の一歩を踏み出す決意を固めた。


廊下を進むと、突然、冷たい風が彼らの肌を撫でるように感じられた。一輝は鳥肌が立つのを感じ、真紀と共に注意深く進んだ。鼻腔には腐敗臭が漂い、まるで何かが腐っているかのような強烈な匂いが立ち込めていた。


「何かがここにいる…」一輝は小さな声で呟いた。真紀は一輝に目配せをし、さらに奥へと進むよう促した。


月明かりが窓から差し込み、床に長い影を作り出した。その影の中で何かが蠢くように動き、一輝は背筋が凍る思いをした。影はまるで生き物のように動き、一輝と真紀を取り囲もうとしているようだった。突然、焦げ臭い匂いが立ち込め、一輝の喉を刺激した。


「気を付けて、一輝さん。この場所には強い悪霊の力が残っているわ。」真紀は冷静に言いながら、手元の巻物を開き、呪文を唱え始めた。薄暗い光の中で、影が一層不気味に揺れ動き、一輝は圧迫感を感じた。まるで見えない力が胸を押しつぶしているかのようだった。


廊下の先には、異様な青い光が漏れている部屋があった。その光に導かれるようにドアを開けると、中は青い光に包まれていた。その光景に驚愕する一輝の鼻に、甘い腐敗臭が入り込んできた。まるで腐った果物のようなその匂いは、一輝の胃をひっくり返すほど強烈だった。


部屋の中央には、異常に青く輝く液体がたまり、そこから匂いが発せられているようだった。さらに、一輝の第六感が警告を発し、彼の背筋がぞっとする感覚が走った。


「ここが…悪霊の源かもしれない…」真紀は呪文を続けながら言った。青い光がさらに強くなり、部屋全体が震え始めた。その中で、一輝は不安と恐怖に包まれながらも、真紀と共に最後の戦いに挑む決意を固めた。


突然、青い光が強烈な閃光となり、部屋全体を包んだ。その中で、悪霊の姿が浮かび上がり、一輝と真紀に向かって吠えた。「これは…」一輝は驚愕の声を上げた。


次の瞬間、光が消え、部屋は再び静寂に包まれた。しかし、一輝の耳元には再び囁き声が響いていた。「何かがまだ残っている…」一輝は恐怖と不安に包まれながらも、真紀と共に最終的な戦いに挑む決意を固めた。

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