第11話 フレン 修正版
このまま終わればいい。
なんて、そんなきれいには終わらないんだ。
みんなで喜び合っている中、僕たちの目の前には、あいつが現われたんだ。
「さすがだな、少年」
鎧の男だ。
「な、なんでお前がここに!? と、父さんは……」
男は何も言わない。
ただじっと黙っているだけ。
何かを悔やむかのように。
「ま、まさか……父さんは……」
…………
男からの返答はない。
「そ、そんな……」
涙と共に僕は地面に倒れこむ。
「すまなかった、少年……」
怒りと悲しみでいっぱいだけれども、僕はその場から動けなかった。
「ふざけんな! 何がすまなかっただよ! 人は、人は死んじまったら、もう、戻らないんだぞ……」
村の人はそういって男に殴りかかる。
鉄の鎧でおおわれた男に殴りは意味がない。
でも、それでも村の人は泣き叫びながら男を殴り続ける。
男はただ無言でいるだけ。
村の人が攻撃をやめると、男は村の中へと進む。
「私は、もう後に引けない。”オーブ”をもらうぞ」
神の力が宿されていると言われているオーブ。
世界には四つのオーブが存在し、それが一つになった時、世界は変わると言われている。
そもそも、この小さな村にオーブが存在すること自体に驚きだが、今は、どうでもよかった。
絶対に取らせてはならないのに、もう、何もかもがどうでもよく思えてしまう。
重すぎる現実に、やる気が出ない。
…………
しばらくすると男は手のひらサイズの赤く光る透明なオーブを持ち霧の中へと消えていった。
つづく
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