第10話 勇者の誕生 修正版
「凄い、力があふれる」
話には聞いていたが、妖精の力は想像以上だった。
「これなら、倒せる」
剣を握りしめ、僕は村へと走り出す。
「足が、体が軽い!」
いつもはできない速さで僕は走る。
「もう、あきらめないぞ」
さっきまで倒すのに時間がかかったゴブリンを一瞬にして倒すと、僕は全速力で走る。
村へ着くと、僕はたくさんのゴブリンが現われた理由がやっとわかった。
それは、ゴブリンキング、あいつが現われたからだ。
ゴブリンキング、ゴブリンの王にして、一番の力を持つゴブリン。
ゴブリンは人と同じぐらいの身長に対してゴブリンキングはその倍だ。
目をつむり、深く息を吸うと、僕は剣を強く握り、全身を研ぎ澄ます。
「ゴブリンキングに剣での攻撃はほぼ無力。なら、今の僕にできるのはこれしかない!」
こん棒によるゴブリンキングの攻撃を避けると、僕は剣を上から下へと強くたたきつけ、斬撃を飛ばす。
「これが僕が、僕の全力だ!『剣技 ブレイク』」
飛ばされた斬撃は見事、ゴブリンキングの胸あたりに命中した。
「グオォォォォ!」と、大きな声で地面に倒れこむゴブリンキング。
再び立ち上がろうとするが、ドサッと大きな音を立ててゴブリンキングは倒れた。
「勝った、勝ったんだ!」
家のがれきや、村から離れた岩陰などに隠れていた村のみんなは僕のもとへ集まる。
「よかった。みんな無事だったんだ」
涙を拭き、僕はみんなと喜び合う。
このまま終わればよかった。
でも、現実は違う。
つづく
つづく
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