第6話
「痛っ!いたたたたー」
心臓の鼓動に合わせて、チクリチクリと背中に痛みが広がる。
目を覚ますと見知らぬ天井とカビ臭い匂いが鼻に突いた
-- ん?なんか前にもこんなことあったなぁ--
と静香は頭の中でそう呟きながら、そっと体を起こしながら周りを見回した。
もうすぐ辺りが明るくなりそうな様子が昨日の自分の記憶を呼び起した。
-- そうだ、最初にここに来た時と同じようね。
でも、あの時はもっと痛みが激しかった。
おかしいな…確かに刺されたと思ったのに… --
呼吸をゆっくりと整え、体の各所の動きを確かめた。打撲の痕、切り傷など
ほとんどなかったし、背中に多少痛みはあるものの致命的なものは無いと感じた。
そっと静香は背中の傷口に触れてみた。すると驚くべき感触に気づいた。
傷の周りが石のように固くなっている。いや、金属のような硬さに近い。
「ど、どうなってんの…?」
静香はあわてて枕元にあった巾着袋の中から手鏡を取り出し背中を映してみた。
すると、傷口の周りが鉄を焼いた様な、焼き入れた刀のような肌になっていて
指で触ると切れてしまいそうな様子をしていた。
「なんなのよ!これは…」と、静香が枯れた声を出すと。
「とざいとーざーい、さあ~お立会い!御用とお急ぎでなかったら、
ゆっくりと聞いておくんなまし~」
と訳の分からない口上が手鏡から聞こえてきた。
「サル⁉あんた!私の体に何したのよー!」とテンション高めに静香は
驚き半分、うれしさ半分で訴えた。
「お気づきになりましたかー!呼ばれたようなのでここに参上!サルタヒコ。」
相変わらず神出鬼没のサルだ。
「お嬢さん、ここに取りい出しましたるが、それ、その、あの、ガマの油だ。」
なにか不慣れな口上を続けようとサルはたどたどしく言った。
「ガマの油?んなアホな!」つられて馴染みのない関西弁を静香は使う。
「たはは、まあ、あたらずとも遠からずってとこでやんすよ。
おまえさんの体質は古代からの力で、特定の血統にのみ受け継がれる
『摩利支天の陽炎』っていう能力だよ。その他にも特別な媒介が必要
なんだけど、それがこの俺様サルタヒコさまよ!エッヘン!」
とちょっと自慢気なサルが言う。
「摩利支天…陽炎…」と思案気な静香。
「おまえさんがその血統の持ち主だからここに転生した。そして俺が
媒介してその能力をおまえさんに与えたわけさ。」
「傷の直りが早いのもそれが作用してるってこと?」
と静香は納得しかけると、
「それだけじゃないぜ、たまに体が重くなったり思い通りに
体が動かないで屋根に上れなかったりしたことはなかったか?」
とサルが言う。
「ああ、確かに大怪我で体調が悪くてそうなるのかと思ってたわ。」
と静香は上を向き思い出しながら言った。
「その能力は、おまえさんの感情に左右されるんだよ。緊張すると
体が重くなったりとかな。だから、意識して感情をコントロールして体をそれに
合わせて動かす事が出来れば、陽炎が助けてくれて強力な武器になると思うぞ、
例えば、走った時に樽屋静の体に任せると脚を自然と強化したりとかな。」
とサルはさらっとすごいことを言う。
「感情をコントロールするなんて気軽に言ってくれるじゃないの。
小さい頃から両親や家族に振り回されて、感情がジェットコースターのよう
だったし、就職してからは押さえつけられてボロ雑巾みたいに
こき使われて感情なんてズタズタよ!なにが選ばれた血統よ!」
と静香は感情が高ぶり、すでに体が固く重くなっていくのが分かった。
「あのなぁ、自分の生まれを選べねぇのは、おまえさんだけじゃねぇんだよ。
感情がジェットコースター?ズタズタ? じゃぁどうすればいい?
何を手に入れれば良いんだよ?」
とサルは更に静香に説教おやじになって問い詰める。
「っ、あ、まぁそれもあるけど、幸せな気持ちが…」
静香は言いよどむ。
「気持ちな!そう!気持ちだよな、おまえさんが手に入れたいものは。
幸せな気持ちだよな!」
一呼吸おいてサルは続ける。
「じゃぁ、その気持ってぇのはどこからくるんだ?」
「えっ?」静香はすぐに答えられない。
「感情じゃないのかい?お嬢さん?誰かから貰うものなのかい?」
とサルは相変わらず説教じじい感を出す。
「え、ああ、まぁそうだね。感情かぁ。」
静香は一瞬考え込み、やがて理解すると体もだいぶ軽くなり、表情も柔らかくなった。
「そう、その意気だ。感情を制御すれば、陽炎の力も使えるし気持も…な。」
と、サルは優しく言った。
「わかったわ、サル。自分の気持ちのためにも感情を制御する。
その点は、同意するわ。でも、なんで忍者?なんでこんなことするの?」
と静香はすでに冷静さの第一歩を踏み出したようだ。
「ああ、そのことはな…」とサルが話始めると。
「ガタガタ」
玄関の戸を開けようとする音がした。
「おっ!誰か来るようだ。この話は長くなるからまた追々話すことにする。
それから、俺と話が出来るようにいつもこの手鏡を持ち歩くんだぞ。」
とサルは言った。
ガラガラと戸が開いて、そこには家中に日が差すような明るい笑顔の
お咲が立っていた。
「姉様!もう起きていたんですね。
今回は刺されたって聞いて、心配したんですよ~
でも、予想はしていましたけど、今回も平気そうですねぇ。
すごく頑丈な体で羨ましいです。」
ほっぺだを膨らませたお咲は相変わらず可愛い。
-- 小さい頃はガリガリで健康になったことないのに
羨ましいなんて言われて、なんか不思議 --
と静香は改めて自分の体の変化に驚いた。
「そう言えば姉様、具合が良くなったら師匠の千代婆様の店に
来てくれと
とお咲は言いながら薬を手渡してくれた。
「分かったわ。さっそく薬を塗ったら師匠のところ行ってくるわ。」
と静香は言って、お咲は戻っていった。
-- ありがとう、お咲、でももう私は傷に薬は要らないほど頑丈な
体になったかもしれないのよ --
仲間の優しさと頑丈な体を手に入れた事が、すでに静香の幸せの始まりだと
気づいていたのだろうか?
◆
千代婆の店に到着した静香は、客のふりをして千代婆と向き合った。
千代婆は静香の顔をじっと見つめ、そして微笑んだ。
「お静、よく来たね。刺されて一段と若返ったんかい?」
「師匠!なんてこと言うんですか!まったく!
じゃああれですか?師匠は刺されないからそんなに老けちゃったんですか?」
「ほー、言うねぇ~お静。刺されて物言いも変わったのかい?
でも、それだけ威勢が良ければ大丈夫そうじゃな。」
と千代婆も静香もニカッと笑いあった。
-- でも、これきっと師匠特有の優しさなんだろうな --
とちょっと静香は嬉しくなった。
「ところで師匠、この間の夜の件、半次さんも師匠も大丈夫でしたか?」
と静香は気を失った後のことが少し気になった。
「ああ、病み上がりのおまえさんと違って上手くやり過ごしたが
逃げられちまってな、そこで今日はおまえさんに新しい修行を兼ねて
奴らが誰なのか探ってほしいのさ。
まずは町に出て聞き込みだ。百合が手助けしてくれるよ。」
「聞き込みですか?」
「そうだ。おまえさんが町の人々と話をし、襲って来た奴らの話を
集めるんだ。最近の「火付け盗賊」が関わってると踏んでるんだが、
百合が詳しい話をしてくれるだろう。茶屋で待っているそうだから、
そこへ向かいな。」
静香は頷き、再び気を引き締めた。
「分かりました、師匠。すぐに行ってきます。」
◆
茶屋に向かう途中、静香は着物の襟を正し深呼吸をした。襲われた時をふと
思い出し少し不安がよぎったが、暗闇を歩いているわけではないので、
気持ちを切り替え、訓練とはいえ任務に集中することにした。
茶屋の入り口に立ち、静香は中の様子を一瞬確認した。
-- 時代劇で見た『岡っ引』と下っ端ぽいのがいるわね。
でもあの下っ端なんか見覚えあるわ。--
などと、静香が考えていると、その席から少し離れた場所に
それとわかる目配せをしている女性が縁台に座っていた。
その女性が百合なのだろう。百合の隣に座ろうと腰をかがめると
静香をキッと
「あっ。」
静香はその意図が分かった。
-- そうだ訓練中なんだ。うっかりほんとにお茶して
おしゃべりするつもりだったわ --
下ろしかけた腰を戻し、縁台をぐるっと回って
静香は百合とは反対に向いて座った。
すると、頼みもしないのに店の人がお茶とカステラのようなものを
静香の横に置いて
「お待たせしました。」と言い、とっとと奥に引っ込んでしまった。
-- カステラ?この時代に町の人がカステラなんか食べてたかしら? --
と思っていると
先ほど岡っ引と一緒にいた下っ端が静香の横で立ち止まり、
「親分、魚河岸の方は?」
と岡っ引の方に向きながら声をかけると
「もう引きけぇすぞ、
親分と呼ばれていた岡っ引がこちらを見ずに行ってしまうと
『六』と呼ばれていた下っ端が静香に
「姉さん、ご無事でなによりです。ではまた。」
と突然小声で話しかけ行ってしまった。
静香は驚きを隠しながら、目の前のカステラに手を伸ばし
『六』の言葉を
-- 魚河岸? 彼は一体…? --
百合は片方の口を上の方にキッと上げ
-- 百合さん、それ笑ってるの?ねぇ?
もっとニッコリして良いんだよ。綺麗なんだし! --
静香はそう思っていると、
「南町奉行所、岡っ引の政五郎と下っ引の六です。」
と低くしわがれた声で百合はそう言った。直後に咳を数回して
喉に絡んだきな粉を派手に「ブハーッ」と吹き出して苦戦していた。
-- 美人が台無しだよ~百合さん。でも、かわいいわ~ --
急に親近感を覚えた静香は笑いをこらえ震えていると
縁台から「ミシッ」という音がしたので、急に自分の特異体質を思い出した。
-- 冷静に!冷静に!こんなとこで縁台壊したらコンビ漫才だよー! --
大きく深呼吸した静香がチラッと百合の方を見ると、恥ずかしそうにした
百合がお茶でのどを潤し小声で、
「六はお静さんにゾッコンだから、話のタネをすぐ持ってきますね。」
静香は一拍考えてから、
「魚河岸ですか?」と百合を見ずに言った。
「ええ、『火付け盗賊』の件で何か
と百合に言われ、静香は袂をガサゴソ探してみると、丸めた紙切れを
驚きと共に取り出した。
-- いつこれ入れたんだろう? --
などと思いながら、さっと開いて見ると
「
すると、さっと静香の手からその紙を取り、立ち上がった百合は無言で歩き出した。
-- 百合さんクールだぁ、あ!でもお茶屋のお代は?ねぇ!百合さん!お代! --
慌てた静香は立ち上がり店の奥を見ると、女中さんは促すように頷いた。
後から聞くと、この時代の支払いは月毎にまとめて払うのが普通だそうだ。
◆
茶屋を後にした静香は、通りの先に目を向けながら歩き始めた。
緊張をほぐすために、深呼吸を繰り返す。百合は先を歩き静香はだいぶ離れて
見失わない程度に付いて行った。
しばらく歩いていると、少し人がばらけて気の木陰でネコが丸くなって百合が
撫でているのを見つけた。
「あら、まぁかわいいわ~。」と百合は言いながらこちらに視線を送り合図した。
静香は百合に近づきながら、「かわいいですね~。」といいながら
猫を撫でまわした。
「
貞次は
と百合は小声で静香に言った。
しかし、静香は残念そうに首を振った。
「まず、棒手振は天秤のように前と後ろに桶をつけて肩に担いで
色々な物を売る仕事をする人ね。それで、貞次はその棒手振で
魚を主に扱っているのよ。」
と説明をし、続けて
「魚河岸で魚を仕入れるのに、あんなに大きい棒を担ぎながらだと
邪魔でしょ?だから棒手茶屋に行って棒をそこに置いて、『茶屋札』を
もらって魚問屋を回って代金と『茶屋札』を渡す。茶屋に戻って茶を飲んで
いると、魚問屋が買った魚を持ってきてくれる所なのよ。」
と一気に魚河岸のシステムを紹介してくれて、静香は頷くばかりだった。
「すると、貞次の行方を棒手茶屋で聞く。と言う事でしょうか?」
静香が百合に言うと
「ええ、その通り。警戒されないように自然に話す ことが大事よ。」
百合は微笑みながら静香にそう言った。
先行する百合を遠くに見ながら、静香は少し緊張しながらも付いて行き
しばらく歩いていると、右手に大勢の人と立派な橋が見えた。
-- ああ、ここがあの日本橋なのね。高速道路も走ってないし
空も広いし二百何年後にはあんなふうになるなんて誰も想像できないわね --
などと、感慨にふけって通り過ぎるとやけに磯の香りが、いや、魚臭い
臭いが漂ってきた。日本橋魚河岸だ。
ものすごい人の数と活気ある呼び声など静香はあっけにとられそうになる。
が、百合の姿を見失わないよう訓練に集中した。
しばらくすると百合は右に曲がっていった。
-- いくら人込みがすごいといっても渋谷スクランブルをスルスル抜ける
元現代人の私に死角はないわ --
と本気で静香は忍者に向いていると思いながら、目星をつけた所に足早に進んだ。
近くまで行ってみると、確かに茶屋のようになっているが、天秤棒と桶が
何組か外に置いてある。中で3人ほど半裸でお茶をすすりながら話をしている
ので、静香は近寄って聞いてみた。
「ちょいと、ごめんなさいな。」
時代劇のテレビで仕入れたセリフを使ってみると、
「魚が入り用かい?」と一人に静香は聞かれたので、
「ええ、貞次ってぇのは、おまえさんかい?」
と静香は今度は聞きなれた母親譲りの江戸弁を使った。
「なんでぇ、カツオがいるのかい?」と違う一人が言った。
-- ああー、なるほど、それぞれ扱う商品が棒手振によって違うのか --
とすかさず理解すると、
「ああ、刺身をね。」と静香は言った。が、
-- 『たたき』の方が良かったかしら? -- と失敗したか?と思ったら。
「ああー、そういえば今日は来てねぇなぁ」ともう一人が言うと
「きのう、愛宕のお
言ったきり姿見ねぇなぁ。」
「カツオの刺身たぁ豪勢じゃぁねぇか。」
「こちとら小物ばっかだからなぁ。」
「町の者がおまんまたらふく食ってくれりゃ、それでいいってよ。」
「ちげぇねぇ。」
3人がそれぞれ勝手に話し出したので、静香は一度百合に報告しようと思い、
「ありがとよ。また寄らせてもらうよ。」
と言ってはみたものの、三人は聞きもせずしゃべり続けていた。
棒手茶屋を出て店の裏手を見ると百合がこちらに歩いてくるのが見えた。
静香は百合とすれ違いざまに
「愛宕神社です。」
と言いそのまま通り過ぎた。
静香は以前IT人材育成プログラムの最終研修で虎ノ門に何か月か行った事があり
愛宕神社も何度か寄ったことがある。
-- 前回はパンプスを履いていたけど今回は草履で行くなんて
こんなにも違うものなのね --
と右手右足を同時に前に出す「ナンバ歩き」にすっかり慣れた静香は少し微笑んだ。
百合は少しずつ歩く速度を上げ始めたので静香はナンバ歩きをやめ、いつでも
走り出せるように準備した。
神社の前で百合は静香の方に振り向き頷いた。
-- もう分かるわ。別行動で探りを入れるのね。--
それぞれの組織にはそれぞれの表情で意思が通じるということを静香は気が付いた。
頷き返し百合が階段を足早に上るのを見上げた。
その身軽さたるや目を見張るものがあった。
静香は急に愛宕神社「出世の石段」の話を思い出し、百合の姿が馬で上る武士の
幻影と重なる。
-- いつの間にかこれまでよりずっと勇気のいる状況になったわ。
もっともっとしっかり勇気を出さないと! --
と階段を見上げながら気合を入れなおした。
しかし、静香はこの時、自分の勇気が思わぬ結果を招くことになるとは
知る由もなかった。
静香が柄杓で手を清め、顔を上げると、百合が遠くで庭師と話している様だった。
社殿でお参りしている間にも何人か声を掛けようと思っていたが
今一つ勇気が出ないので、社務所に向かいお守りを見ながら巫女の様子をうかがう。
すると、見慣れた長方形のお守りの他に、着物に縫い付ける物もあるようだ。
-- うわぁ~かわいいお守りがいっぱいでコレクションの血が騒ぐわ!--
などと任務を忘れて目をキラキラさせると、その中の一つに大飛出のお面が
あしらわれた小さな巾着型のお守りがあった。
すかさず、静香は巫女さんに「これを…」と有り金全部出したところで、
任務を思い出し、
「ちょいと聞きたいんだけど、今日は変わったことなかったかい?」
と静香はいかにも怪しいやつを探しているような質問をしてしまったので、あわてて、
「あ…いや、石段を馬で駆け上がってきた人がいるとか…。」
とバカ丸出しのことを言った。
「うふふふ。そんなこと起きたら大騒ぎですよ!面白い方ですねぇ。」
と親しみを込めてコロコロと巫女は笑ってくれた。
「そういえば、今日は風が違うのか変な臭いがたまにしましたねぇ。
それ以外は特に普段と違うということはなかったです。」
と巫女は丁寧に答えてくれた。
社務所の前から振り返ると、社殿の裏にチラリと百合の姿が見えた。
購入したお守りを大事そうに袂にしまった静香は、それとなく社殿の方へ向かい、
人目のない所で話をした。
「庭師が北側の登り口辺りで、今日棒手振を見たらしい。」
と手短に百合が伝えると
「そうですか、こちらは特にないですが、今日はいつもと違う臭いがした
と巫女が言ってました。」
と静香が言うと、
「臭い?うーん、関係ないと良いけど…とりあえず目立たないように
北門から出てみましょう。」
そう言うと百合はさっと行ってしまったので、
静香も足早に北門から出て、木々の生い茂った北側の下り坂を下って行った。
すると、ちょっとした崖部分に朽ちそうな納屋があり、百合が慎重に近づこうと
しているところに静香は追いついた。
納屋入り口の隙間部分から静香は中を覗くと天秤棒と桶と縛られた男を見つけた。
大きく息を吸い込み、驚きと焦りを感じた静香は感情が高まる。
「うん、火薬の匂いだね。これが風に乗って巫女が…」と百合が言いかけた時、
-- さあ、今こそ勇気を出す時!私は石段を馬で駆け上がるのよ!--
と静香が決心し、力を込めて戸を開けた瞬間…
静香の周囲がスローモーションに感じられ、縛られ猿ぐつわをされた男が大きく
目を見開き、静香の足元にバチバチと火花がはじけた。
-- ああ、これはマズイ! --
と思った瞬間、静香の体の中が異常に高温になりなる。
-- 貞次さんを守らなきゃ! --
素早く静香は丸まっていた貞次をかばうように覆いかぶさった。
-- 間に合って!--
「ドーーーーーーーン!」
すごい音と共に静香は貞次もろとも崖下に飛ばされた。
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