第54話 Sympathy(14)
35歳・・
彼女の年を噛みしめると
なんっかもう
たまらなく申し訳なくなってくる
こんなコブつきの男とつきあってて
彼女にとって何がいいことがあるんだ
正直
もし暖人がいなければ、もう結婚なんて話になっていたかもしれない
しかし
今、こうなってしまった以上
彼女の意向もあり
結婚は当分ない。
男の35と女の35は
何もかも違う。
「ねえねえ。 かおりちゃんのたんじょうびおいわいしないの? いつもごはんとかつくってくれるし。 ぼくもかおりちゃんにプレゼントしたい、」
暖人の言葉に
ハッと我に返った。
「そうだな。 お父さんもなんかプレゼントしようかな。」
「ねえ。 びっくりさせようよ。 このまえ、ともだちのタイキくんがね。 たんじょうびのときにタイキくんのおかあさんとかおねえちゃんがね、タイキくんにないしょですんごいプレゼントとかケーキとかくれたんだって! すっごくびっくりしたって。 でもうれしかったっていってたよ、」
最近はいろんなことに積極的で
保育園でも実はリーダー的存在だ。
同じ年の子供たちの中では
色んな経験をしてきて、少し精神的に大人なのかもしれない、と樺沢はちょっと複雑だった。
「・・サプライズか~~~。 おもしろそうだな! じゃあ、お父さんが作戦を考えておくから。 ハルも香織ちゃんにあげるプレゼント考えておけよ。」
「うん!!!」
暖人は嬉しそうに頷いた。
「ハル、何してるの? 今日はお父さん遅いから先にご飯食べてなさい、」
樺沢の母が茶の間を覗くと、暖人は一生懸命おりがみを折っていた。
「おりがみ? 保育園でやったの?」
「・・ほんみてつくってるんだよー。 ちょっとまってて。 もうすこしでできるから。」
数分後
「できたー! おばあちゃん、かぶとむしだよ。 すごいでしょ、」
暖人は自慢げに祖母にそれを見せた。
「へえ・・ハルは上手なんだねえ。 これ、おばあちゃんにちょうだい。」
5歳の子が作ったとは思えない器用さに顔をほころばせた。
「え、これは。 かおりちゃんにあげるから・・」
「・・『かおりちゃん』に?」
少し顔をしかめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます