第50話 Sympathy(10)
暖人が朝目を覚ますと
「ハル、おはよう! 今日は昨日香織ちゃんが買ってきてくれたドーナッツと、お父さんが作った特製野菜スープだぞ、」
樺沢はいつもより早起きして、朝食を作っていた。
「うん・・」
なんだか父のテンションがいつもと違うことに子供ながらに気づいていた。
戸惑っている暖人に
「今日。 お父さん、マサキくんとマサキくんのお母さんが来るまで保育園で待ってるから。 ハルがつきとばしちゃったことは謝るけど・・ハルにも謝ってもらうからな。」
としゃがんで頭を撫でた。
「え?」
「ハルを傷つけることを言った。 身体に傷つけられるのと同じくらいハルは痛かったと思う。 お父さんは、親としてハルのことを守るから、」
そしてニッコリ笑った。
「おとうさん・・かいしゃおくれちゃうよ、」
園の門の前で樺沢は暖人とマサキ親子が来るのを待った。
「電話してあるから。 少し遅れるって。 今は・・暖人の汚名を晴らす方が大事だ。」
樺沢はぎゅっと口を結んだ。
そこに
「あ・・マサキくんだ、」
暖人が言った。
「え?」
「ほら、おかあさんとてをつないであるいてくる、」
彼の指をさした方向を見て驚いた。
なぜなら
その子は暖人と同じ保育園の年長なのか
と思うほどの巨体で
小学校3年生くらいに見える。
『わんぱく相撲 横綱』
的な雰囲気を体中から発していた。
小柄な暖人はこんな子に向かっていったのか
と、ちょっとだけ感心してしまった。
そして
その手を引いている母親もまた
『横綱』級だった・・
ゴクっと唾を飲み込んだ。
「・・あのう。 樺沢暖人の父ですが、」
おそるおそる声を掛けた。
「は???」
母親はあからさまに顔をしかめた。
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