第8話 Began at the time(8)

いつもランチに行く蕎麦屋に



志藤と樺沢が行くと、偶然に南と香織も来ていた。



「あれ? 今日も二人おそろい? 仲ええなあ、」



南がからかった。



「たまたま資料室で仕事してたから。 別に『一緒にランチしようねー』とか約束してたわけやあらへん、」



志藤はブスっとして言った。



「なんか同期って妙な連帯感あるよな。 大して親しくなくても、いざって時に頼りたくなるってゆーか、」



樺沢は志藤の隣に座った。



「大して親しくないって。 おまえ思いっきり笑顔で失礼なこと言うな、」



志藤はおしぼりで手を拭いて店員を呼んで



「天ざる二つ、」



と注文した。



「勝手に注文すんなよ。 おれは今日はカレー南蛮にしようか迷ってたのに、」



「えーやん、もう時間もあらへんし。 今日は天ざるってカオしてた、」



「え、ほんと?」



樺沢は真面目に手に顔をやった。



その姿に3人は大ウケして



「な、おもろいやろ~~~。 こいつ、」



志藤は樺沢を指差した。



「天然やな。 志藤ちゃんと正反対や、」



「おれはこんなに自由に生きられへん、」



「志藤さんと南ちゃんもいいコンビだもんね。 息ぴったりだし、」



香織はお茶を飲んだ。



「ああ、何言うてもたぶんわかってくれる、みたいな空気はあるなあ。」



南は笑った。



「ほんっと仲いいもんね。 正直、真太郎さんよりも志藤さんといる時間のが長い感じだし。 どっちが夫なのかわかんない感じだよ、」



「アハハ。 あたしたちたぶん結婚しても1カ月ももたないから。 ね!」



「ね!って。 張り切って言うな、」



「ねえ、カバちゃんは今彼女とかいーひんの?」



南は興味津々に目を輝かせた。



「えっ。 彼女はー。 うん、今はいない・・」



少し動揺したように見えた。



「何動揺してんねん、」



すかさず志藤につっこまれて



「え、別に。 独身なんだから自由じゃん、」



「まあ、でもー。 彼女もいないんじゃ寂しいなあ。 」



南と志藤は何となく香織を見てしまった。



その視線に気づいて



「は? なに?」



慌てて箸を置いた。



「かおりんもカレシと別れたばっかりやしー。 どう? 二人つきあっちゃえば?」



南の何気ない『冗談』。



そう



本当に『冗談』のはずだった・・



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