第7話 改造人間の機能

 俺ことダークラムはゴブリンの駆除を完了して、洞窟内から出ようとしていた。


 だが、その時不可思議なな現象が起きた。なんと目の前に倒れているゴブリンどもの姿がみるみる光の粒となって消えていく。


 俺はこの不可思議な現象を見て困惑した表情を浮かべたのである。


 「これは‥‥‥一体‥‥‥!?」


 俺が困惑した表情で見ていると、蛍の光の様な幻想的に光る粒が一点に集まってきたのである。


 そして光の粒は回転し始めた。多くの光の粒が集まり回転しているので、洞窟内はまぶしかった。


 そして、回転が終わると、輝きを放つ一枚のカードが現れたのである。


 俺はその近くまで歩み、輝きを放つカードを手にした。すると、カードから輝きが消えたのである。


 俺はそのカードに書かれてあるものを見た。表面には、ゴブリンの絵柄が書かれていたのだ。


 「なぜ‥‥‥ゴブリンの絵柄のカードが急に現れたのだ‥‥‥!?」


 俺は不可思議に思いながらこのカードを見つめていた。


 

 すると、急に俺の脳内から声が聞こえてきたのである。


 俺は目をつぶり、脳内に響く声を聞き取ろうとした。


 声は洞窟内に入る前に聞こえたAIの声だった。


 「洞窟内にいるゴブリンの駆除を完了しましたね。おめでとうございます。その手に持っているカードは、ゴブリンの駆除に成功した証です。どうぞ受け取ってください!!」


 「このカードは駆除に完了した証なのか。では、それ以外にこのカードに役目はないのか!?」


 「もちろんありますよ。このカードを手にしたものはそのカードに書かれてあるものの力を一時的に受け取ることができるのです」


 「では、俺はゴブリンの力を手にすることができるのか」


 「はい、そうです。しかし、ゴブリンの力ではほんのちょっとの力しかあなた様に加わりません」


 「ほんのちょっととはどれくらいだ!?」


 「そうですね。あなた様の今の力を数値で10万と現すのならば、加わる力は1ぐらいでしょうか」


 「たったそれだけしか加わらないのか」


 「はいそうです」


 「それじゃあ使い道がないじゃないか」


 「そうとも言えますね」


 「はあ―――!! まあ、このカードの使い道を知れただけよしとするか」


 俺はため息をつきながら説明を聞いてよかった点を無理やり探し出した。


 「でも待てよ‥‥‥討伐したらカードが発行されるなら、もっと強い魔物を倒せば強い加護があるカードをもらえるんじゃないか」


 「はいその通りです。ですので、もっと強い魔物を倒していきましょう!!」


 「しかし‥‥‥そんな簡単に魔物が見つかるものか!?」


 「それはご安心を!! ダンジョンに挑めば魔物と出くわすのは簡単です」


 「ダンジョン‥‥‥!?」

 

 俺はダンジョンのことについて知らなかった。なのでAIにダンジョンのことを聞こうと思った。


 「ええ。ダンジョンに挑めば多くの魔物と戦えます。それだけでなく、多くの黄金財宝を得られるでしょう。どうです挑戦してみませんか!?」


 「挑戦したいのはやまやまだが‥‥‥ダンジョンがどこにあるのかわからぬではないか‥‥‥!?」


 「それならご安心ください。あなた様には衛星機能が備わっています」


 「何だと‥‥‥しかしどうやってその機能を使うんだ」


 「お腹を触って衛星よ出よと念じれば衛星機能が備わった道具が出ますよ」


 AIはあっさりとその機能を出す方法を説明した。


 俺は言われた通りに、お腹を触った。すると、お腹に穴ができそこから四角い機械が出てきたのである。


 「これが衛星機能が備わった道具か‥‥‥しかしどうやって使うんだ!?」


 「道具の持ち手にある赤いボタンを押せば使えますよ。しかし、これは上空から観察するための道具なので、使うなら地上でお願いします。このような場所で使うと天井にあたって壊れるだけです」


 「了解した。では洞窟内に出てからこの道具を使うことにしよう。だが、一つ疑問に思うことができたので聞いてもよいか!?」


 「はい、なんでしょうか!?」


 「衛星機能で観察した場合、その観察した映像をどうやって見ればよいのだ」


 「それは、改造人間状態のおでこから生えているアンテナを衛星機能の道具にチャンネルを合わせることで、蟲の目に映像が映ります」


 「なに‥‥‥このおでこから生えているのはアンテナなのか‥‥‥気づかなかった。それとこの蟲の目にそんな機能があったことも気が付かなかったな」


 俺はそんな機能がついているとは知らなかったのでひじょうに驚いた。


 「説明は以上で終わりです。他に聞きたいことはありますか」


 「いやこれ以上、聞きたいことはないな」


 「では、これにて説明を終えます。自分の機能をうまく使ってくださいね」


 するとAIの声が消えた。

 

 それと同時に目を開けた。目の前には受け取ったカードと薄暗い洞窟内しか見えなかったのである。


 

 その後、俺は細長い洞窟内を歩いて行き、しばらくして外に出た。


 


 


 

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