第4話 転移魔法陣

 俺ことダークラムは、自分の部屋にある大きいベットで横になりながらくつろいでいた。


 「はあー、今日は色々、あって疲れちまったぜ!!」


 ダークラムは異世界に召喚されたり、大首領ダークラム様と呼ばれたり、幹部や施設について説明されてくたびれていたのである。


 特に、異世界に召喚されたあとが疲れた。


 幹部や施設などの紹介のためにたくさんの時間を費やしたため、異世界に召喚した後の方が疲れたイメージが強いのである。


 「あー疲れてもうこのベットで寝たい‥‥‥‥」


 ダークラムはそのまま大きいベットで寝たのである。


 

 そして、朝を迎えた。


 俺は徐々に目を開けたのだ。視界がぼやけながらも目の前を見た。


 元の世界のベットならいくらかましだったか‥‥‥そこは異世界で紹介された部屋の大きなベットであった。


 さらに辺りを見渡すと大きなテーブルや柔らかそうなソファーが備えてあった。


 何度みてもその部屋は、紹介された開放的でくつろげる部屋である。


 

 俺は寝ぼけた顔のまま起きて、ベットの近くに置いてある靴を履いた。


 そして、近くの柔らかそうなソファーに座った。座ると、柔らかすぎて落ちてしまいそうな感覚においやられたのである。


 俺は再び目を閉じて、そのまま眠りにつきそうになった‥‥‥しかし、その時であった。


 俺の部屋のドアをノックする音が聞こえてきたのだ。


 「だれだ!?」


 俺はノックした者がだれか訪ねた。


 「私です。モッツァレンドです。朝ごはんを持ってきました」


 どうやら朝ごはんを持ってきてくれたようだ。ちょうどよかった。


 「そうか。中に入ってくれ!!」


 俺は、モッツァレンドを部屋の中に通した。


 そして、モッツァレンドは「お食事です」と言って、テーブルに朝ごはんを置いたのである。


 「ご苦労様である!!」


 「はっ! ありがとうございます。ごゆるりとお食べください。では私はこれで!!」


 モッツァレンドは部屋を出ようとしたのである。俺はモッツァレンドが部屋から出る前に聞きたいことがあり呼び止めた。


 「モッツァレンド聞きたいことがあるのだがいいか!?」


 「はっ!! 聞きたいこととは!?」


 「俺のことだ。俺を召喚したのは世界征服を成し遂げるためと言ったな」


 「はい。いかにもその通りでございます」


 「この世界には俺達に立ちふさがる敵がいるのか!?」


 「大勢います。ヒーロー協会があるアリエント合衆国、騎士たちがはびこるガジェット王国など我々に立ちふさがる王国は数多くあります」


 そんなに多くの敵がいるのかよと俺は唖然としていた。


 「なるほどな。それほど俺達は、世界にとって邪魔な存在ということか」


 「いえ、世界にとって邪魔な存在は奴らの方です。我らは決して邪魔な存在などではありません」


 モッツァレンドは少し怒ったのか早口で攻め立てた。


 「分かっている。そういきりたつな」


 「はっ。申し訳ございません」

 

 モッツァレンドは感情的になることもあるのだなと感じた。


 

 「だが、俺はお前ほど世界がどうなのかは知らない。そのため、この世界の一つの村を調査したい」


 俺は、この世界の住人がどういう人たちなのか調査したいと言った。


 「わかりました。では支配権の村を視察しますか!?」


 「いや支配権ではなく敵対国でもない村を視察したい」


 それを聞くと、モッツァレンドは少し慌てた顔をしたのである。


 「しかし‥‥‥支配権でもない国の村を視察に訪れると危険なこともあるかもしれません」


 当然のことながらモッツァレンドは俺を引き留めた。


 「私は大首領で、とても強いのであろう。だったら、敵国でもない一つの村人に恐れを抱く必要はないだろう」


 「し‥‥‥しかし」


 「モッツァレンドよ。俺の身を案じてくれているのは分かる。だが、実態を視察しなければ、この世界の構造を理解できん。お願いだ」


 俺は頭を下げた。


 「あ‥‥‥頭をおあげください」


 モッツァレンドが頭をあげてくれと言ったので俺は頭をあげた。


 「分かりました。では、ジレント共和国の一つの村を視察しに行きましょう。ジレント共和国なら我らも入国してくれるでしょう」


 「わかった。では手配してくれ!!」


 「はは!!」

 

 そういって、モッツァレンドは部屋を出た。


 

 俺は出された朝食をいただいていた。おいしい香りが漂っていたが食べてもとてもおいしかった。


 その後、朝食を終えて、席に座りながら、モッツァレンドを待っていた。


 

 しばらくして、モッツァレンドが訪れた。


 「手配の準備ができました。転移魔法でジレント共和国の村に訪れます。準備はできていますか」


 「俺はできている」


 「そうですか。では転移魔法陣のある部屋まで向かいます。とその前にこれらを渡しておきます」


 モッツァレンドはパレードに使うような仮面と、黒装束、そして怪しげな道具を渡してきた。


 

 「仮面とフードはダークラム様の身を隠すためにお使いください」


 「分かった。ところでこの道具は何だ」


 「それは毒ガスを輩出する道具にございます。もし敵が現れたらそれをお使いください」


 「おいこれを使ったら俺もひとたまりもないではないか」


 俺はこの毒ガスの道具で自分も死ぬのではという意味も込めていった。


 「ダークラム様は鋼鉄の身体の持ち主のため、ご安心かと!!」


 「あっ!! なるほど!!」


 俺は鋼鉄の身体を持つ改造人間のため、毒ガスがくらわないことをすっかり忘れてしまっていた。


 「では転移魔法陣のある部屋まで私についてきてください」


 こうして、俺は自分の部屋を出て、転移魔法陣のある部屋に向かった。


 

 そして、その部屋に到着して中に入ったのだ。


 

 中は何も物がなく薄暗かったため不気味な感じがした。だが、その不気味な部屋の中央に魔法陣らしきものが紫色に光っていた。


 俺とモッツァレンドはその紫色に光る魔法陣の上に立った。すると紫色に輝き始めたのである。


 

 その後、俺はその部屋から消えたのであった‥‥‥‥‥‥。



 そして、俺が目を開けるとその先には、人が行きかっていたのである。


 「これは‥‥‥転移に成功してジレント共和国の村の近くまでたどりついたのか!!」

 

 「さようでございます」


 俺は声のした方に顔を向けた。すると黒装束にマスクをしたものがいた。だが、その声でモッツァレンドだということはわかった。


 それに、モッツァレンドの格好は先ほど俺に渡したものでもあるからすぐに判断できた。


 もちろん俺も仮面をつけて黒装束を身にまとっていた。


 「それで、ジレント共和国の村はどこにある!!」


 「この施設の外に出ればわかりますよ」

 

 そう促され俺は外にでた。すると、目の前にこじんまりとした木造の家々が立ち並び、すくない人が行き来していた。


 寂しい感じがする村が俺の前にあったのだ‥‥‥‥。


 


 

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