第8話 アメリカ

  俺が次にどこのダンジョンに行こうか迷っていたとき、葵が俺の所にやって来た。

  

 「夜様、アメリカのS級ダンジョンが2個同時にスタンピードを起こしました。アメリカは自国だけでは、対処出来ないと判断し、夜様に協力要請が来ました。どうしますか?」


 「アメリカか…アメリカは協力要請に応じなかったくせに、協力を求めてくるということはそれだけ追い込まれているのかもな」


 「はい、状況は大分まずいそうです」


 「そうか、わかった。アメリカにいくわ」


 「わかりました。では、協会に連絡しておきます」


 S級ダンジョンが2個同時にスタンピードか…正直前のダンジョンのレベルだと、2個あろうと関係ないな。スタンピードで、どれだけ魔物が強くなるかだな。


 「協会が今から迎えに来るそうです。」


 「別に来なくても良いよ、転移魔法でいく」


 「分かりました。私もついて行ってもいいですか?」


 「いいよ、じゃ、掴まって」


 空を飛んで行ってもいいけど、時間がかかるからな。早く行って、アメリカを安心させてあげないと。



◇◆◇◆


 アメリカ探索者協会本部


 ある、執務室で50歳ぐらいの男が焦りを露わにして、部下に尋ねた。 


 「で、SS級探索者の夜とやらは、来てくれそうか?」


 「先ほど、協力要請に応じ、アメリカに向かうとのことです」


 「実力も本当か怪しいのに、大丈夫だろうか。信じるしかないか、夜が来るまで持ち堪えてくれよ」


◇◆◇◆


私、日本探索者協会会長、宮本重松は期待していた。SS級探索者夜、彼はいずれ世界を救う男だ。そんな、彼のSS級探索者としての初めての舞台。わくわくしていた、こんなに、わくわくするのは初めてだ。


 「夜はすぐに、アメリカに行けそうか?」


 私は、部下に尋ねた。

 

 「それが、迎えはいらないと言っておりました。」


 「なに、どういうことだ?…まさか!、アメリカまで転移魔法で行くのか、アメリカまでどれだけあると思っているのだ」



「さすがにそれは、無理だと思いますけど」


 確かに普通に考えたら無理だろう、だが、期待している自分がいる。彼ならやってくれると。私も彼に会うまで、彼の実力を疑っていた。しかし、彼に会った瞬間本物だとわかった。

  

 そんな事を考えていると、部屋に慌てた部下が入ってきた。


 「か、会長、ただいま、SS級探索者夜がアメリカに到着したとのことです!!」


 「ほ、本当か!?」


 「はい!」


 やはり、やはり君ならば世界を救える。


◆◇◆◇


 転移魔法で3秒もかからずに、アメリカに到着した。今のアメリカは、すごかった。50m程の大量の巨人が斧やハンマーを持って暴れていた。他にも、ドラゴンが10匹ぐらい空を飛んでいた。まさに、地獄絵図だな。


 「俺は戦うから、葵は民間人の避難誘導でもしてて」


 「分かりました」


 敵があれだけ大きければ、攻撃したら気持ちいいだろうな〜、そんな事を考えていたらドンッという、大きな爆発音がした。見てみると、探索者が巨人と戦っていた。だが、あの調子では巨人には勝てないだろう。その探索者には、見覚えがあった。


 「誰だったかな~?あっ、思い出した。葵に教えてもらった、S級探索者だ!それにしても、弱いな。ちょっと、期待はずれだ」


 ま、始めるか。




 

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最強の吸血鬼はダンジョンが、現れた世界で無双する @yyotyo

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