塵埃(生活について)

Shoegazerしゅーげいざーは雨の日に似る」と思ひき 田んぼの水も青く光れり


「切断されたゼリーみたいに透明なお城に住む」と乙姫言ひき


檻の前、飛び跳ねて犬喜ばすくらいキてゐる我は危ない


くりたたねまたくりたたね悪意てふ九重ここのへの城に立て籠もり居き


塚本邦雄「しかもなほ雨、ひとらみな十字架をうつしづかなる釘音聞けり」

しかもなほ雨に傷める石地蔵 釘を拾ひて脳を削れり


しかもなほ雨はすすぐよ。浄罪の護符だに持たぬ諸手もろての花を


銃声と共にくずほるるからだ有り。その傷口を検むる仕事


禁術と呼ばれてあをき模様成す石の床にも我は映れり


アイドル用楽曲の裏で鳴り止まぬguitarぎたーの音は小さめmixみくす


塵埃にまみれて間接照明は吸血鬼ゔぁんぴーるらの爪見えぬ程


vanillaばにら焦がして苦き香りせり 腰細き人のスーツぞ黒き


九重のウォール・オブ・サウンド、閉ぢをりて まぶた縫ひつる子らの目に雪


漢字てふ暗喩の文字で「暗喩ぞ」と自己言及せる詩的散文

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