駄目な歌を置くところ「人形供養」

夢中夢

岩波文庫版の江戸川乱歩を読む

全六巻江戸川乱歩読みをはり「夜（よ）の夢」なれば昼は隠れき

川野芽生『無垢なる花たちのためのユートピア』

方舟は死者を弔ふ花放（はふ）る　透明の花、人工の雪

ART-SCHOOL「シャーロット」

〈狂気そのもの／真実の愛〉だけ抱（いだ）け　瑕に似た花枯れても、シャロット

イニミニマニモ？『BLACK　SOULS２』に

「屠殺場」ステージ作りし蛮勇よ　パノラマ島の打ち上げ花火

同（『BLACK　SOULS２』にこんなシーンは無い）

天啓を受けし人形職人は（少女の悪夢）血の池を越ゆ

同

病室に天使現れ子らに手を延べて天使は髄液を飲む

脳をぐちゃぐちゃにし天使微笑みて手を延べ（雪は？）幻影に還す

匿されし廃病院の天使らは手を延べ渡す銀の処方薬

昇降機なかぞらに止まりシレーヌの領域照らす灯を捧げ持て

瑕といふ瑕を移せる人形は盲ひつつ天を――その天戮（りく）す

九重（ここのへ）の雲にも薔薇（さうび）てふ地獄　ほのに色付くその雫降る

中川多理の人形写真集『イヴの肋骨』に

やはらかき繭を破りて現れし人形の手にはじめての雨

ぬるき雨、人肌の如（ごと）降りしきぬ　あはせ鏡の水溜りに落つ

腐りつつ沈みつつある躰（からだ）抱き死はなほ遠し　喇叭（らっぱ）吹き歌ふ

夢中夢『イリヤ-ilya-』を讃う

ふたたび夢を――あはせ鏡に住む人は火燭を持ちて照らす夢中夢

「たんか」の「た、か」に切り裂かるる空間に隠れてゐたはずの火花散る

澁澤龍彥『唐草物語』

幾重にもかさねて中は空虚なる玉葱（たまねぎ）を呑むコント・アラベスク

天蓋のごとき蒼穹罪に満ち神の獄舎がその裏に有り

つりがねのごとき花問ひダチュラてふ名を言ひしのち逝きし水精

水仙に生（あ）るるは悲し　人らみなナルキッソスと呼びて摘み取る

肋骨の如き百合有り　串刺しの槍と無辜の血愛せ愛せ百合を

空木春宵『感傷ファンタスマゴリィ』

Phantasmagoria（ふぁんたすまごりあ）に隠るる職人は鏡の檻で変貌しをり