吉田隼人『霊体の蝶』について

とほくとほく、色のみぞ見し あかあかと詩稿燃やせるその炎見き


敷石の、(見知らぬ友よ疾く来たれ)詩を棄てし日の君の手に雪


かまどにてサラマンドラの仔ら眠る 春を待てるよ しとしとの雪


凝視せるほどに視界は歪めるよ 抒情のあまり歪めるショパン


ざくろざくろ、ざくろを冷やして凍らせつ 結晶質の血のこな散りぬ


液状に融けたる骨を芯とせり 歩むほど身はシチューに似て雨


吉田隼人『霊体の蝶』「はたちより先は晩年 身を綺語にやつしてけふの霧雨ぞふる」

はたちより先は晩年兄たちは石化しつつある左手を棄つ


虚虚実実きょきょじつじつ虚虚虚実虚きょきょきょじつきょを混ぜ合はせ心臓ハート女王クインの茶は赤黒し


BUCK-TICK「Romanesque」

爪にべにどうにもならざるromanesqueろまねすく 心臓ハート骨牌かるたを逆撫でて投ぐ


妹よ(兄の誕生日だからね 原詩のEulalieゆうらりいずうじ)眠れ


内面の空虚を映せる鏡には病人の顔、つたかづら、百合

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