第22話

「そういえばさ、未央はどうして電卓部に入ってたの?」

入った理由を書きながら質問をする。

「友達が一緒にやろって言ったから」

同じく書きながら答えた。

「へー、友達は今も続けているの?」

「うん」

「そうなんだ。じゃさ、未央はなんで辞めたの?」

ポテトをつまむ。

「面白くなかったのが一番かな」

「面白くなかったの?」

未央は頷く。

「先輩達は良い人なんだけど、基本無口だから部活全体がお通夜状態で。私、おしゃべりだからよくみんなに声をかけたんだけどたいてい2ターンぐらいで終わっちゃて。それがおもろしくなかった」

話し終えると水を一口飲んだ。

「今は?」

「面白いよ。みんな、おしゃべり好きだからいつも気づいたら下校時間が来ているよ」

「よかったね」

「逆に、優奈はどうしてワープロ部に入ったの?」

「あー、んー…私はね…、楽しそうと思って入ったね」

適当に答える。

「楽しそう‥で、実際に楽しいの?」

「うん。先輩達と同級生は基本静かだけど話すといつも盛り上がってよく休憩時間を越しちゃうんだ」

「そうなの」

「うん!」

今思うと、私部活始めたの2学期からだ。

ワープロ部のことなにも知らないまま始めた。

みんな、途中から入ってきたのに仲良くしてくれた。

次第に続けようと勇気が湧いてきた。

なんとなく慣れたころに、新人大会があって千紗と同じぐらいの記録を立てることができた。

みんな、褒めてくれた。

嬉しかった。

時折雑談しながら

「よし、できた」

と日が暮れかけた頃、未央はペンを置いた。

スマホを見て、

「もうこんな時間」

と呟いた。

「えっ、何時?」

「5時」

「5時…なのに、こんな時間なの?」

「うん。推しの配信7時からだからそろそろ帰らなくちゃ」

そう言いながら立ち上がりながら、財布と伝票を確認する。

「おけ」

私も立ち上がり、バックを持つ。

そのまま2人でレジまで行き未央が全部払ってくれた。

「未央、今日はありがとう」

「こちらこそ」

未央は駅に行き、私は駐輪場に向かった。

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