第21話
「さて、やりますか」
「そうだね」
互いにシャーペンを持ち、プリントを出す。
「未央、部活のことをまとめた紙を持ってきた?」
「うん」
そう言って、プリントの下からルーズリーフを出し、ほらっと私に見せた。
「優奈、何から書いていく?」
「まずは、部活内容でしょ」
「おっけー」
―
「よし、書けた」
途中、ポテトをつまみながら書き上げた。
「見せて」
「分かった」
―
家庭科部
活動は主に裁縫と調理です。
平日、火・木曜日に行っています。
顧問の平先生の指導の元、部員全員で一ヶ月の活動内容を考えて活動しています。
―
「どう?」
「いいんじゃない?しいて言えば、顧問の平先生のところかな。顧問の“の”要らないかな」
「そう。じゃ、消しとくね」
ペンケースから消しゴムを出す。
「あっ、優奈はどう書いたの?見せて」
「いや」
「えー、なんで?」
「嫌だから。…ほら、それより。早く書かないと今日の推しの配信まで帰れないよ」
未央の大好きなアイドルグループの写真を見せながら言う。
「そっか。―次は、あぁ…なんでこの部活に入ろうと思ったか、か」
未央は頭を掻きながら唸る。
「めんどくさいよね」
「うん。でもさ、優奈はいいじゃん」
「ん?何が?」
「一回も部活を辞めてないから」
…
「それか」
嘘だよ。
私、一回部活辞めてる。
私、元々吹奏楽に入ってたんだ。
未央と知り合ったのが1年の秋からだったから。
未央は知らない。
吹奏楽、上下関係と先生がきつかったんだ。
皆、弱音を吐かず毎日部活を来ていた。
私も最初こそちゃんと来ていたんだ。
弱音も吐かなかった。
けどね、続ける勇気がなかった。
次第に行かなくなって夏休みに入る前に先生に呼ばれてこう言われた。
「行く気が早く辞めろ」
と。
私、すぐに答えちゃった。
「辞めます」
って。
先生は
「そうか」
と言って退部届けをくれた。
もう部活に入る気はなかったけど一年生は絶対に入らないと行けないからたまたま見たワープロ部の名前を入部届けに書いた。
そのまま、部活に入らず幽霊部員としていようと思ったのに…。
浦野先生に
「なんで来ない」
って言われちゃった。
特に理由もないから、尻込みしちゃった。
―
「おーい、ゆーなー?優奈?」
未央が肩を揺すっている。
「―!…なに?」
「暗い顔でぼーっとしてたよ」
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