第23話 千紗

定期券をかざしながら、走って改札口を通り抜ける。

滑り込むように、MT行の電車に乗り、荒れた息を整えながら、席に座った。

バックからスマホとイヤホンを出し、お気に入りの曲を流す。

窓の外の景色を見る。

ほぼ、田んぼだ。MTに向かうほど高い建物が増えていく。

今日やっと優奈と一緒に学校に行けた。

とても嬉しかった。

誘うときとても緊張した。

けど、優奈はOkと言ってくれた。

嬉しかった。

去年の秋。

佐々木優奈という同じ1年生の子が入ってきた。

どこか不満そうな顔をしながら私達に挨拶をしていた。

なんでそんな顔をしていたのだろ?

また、聞いてみよ。

優奈はすぐに先輩たちと馴染んで、私と同じ記録を立てた。

驚いたのと同時に、“負けられない!”という気持ちが溢れてきた。

新人大会は、私が勝っただけどすごく悔しかった。

だから、私は自主練を増やすことにした。

そのおかげかとわんどん記録が伸びて。

嬉しかった。

けど…、張り合える優奈がいなくなちゃった。

悲しい…。

「…!んん」

いつの間にか寝ていたらしく、終点の一つ前NKに着いていた。

よだれを拭いながら体勢を整え直す。

スマホを手に取り、曲を止める。

少しして、

『次は終点MT〜―』

アナウンスが流れた。

大体の人が降りる準備をしている。

私もイヤホンを外し、バックの中にしまう。

すぐにMTに着き、流れように人が降りてゆく。

私もその流れに乗り、降りる。

駐輪場に向かいながら、今日の予定を立てる。

一つ良いことが思いついた。

「ふふ」

口元が緩む。

私は駐輪場に向かう足を引き戻し、商店街に行った。

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