第18話

ぐるっと二階を一周してから、部室に向かった。

唯一違っていたのは、空気入れが3つあったことだ。

「「おはようございます」」

元気に挨拶をして私たちは自分の席に座った。

土曜日の練習はいつもとほぼ一緒だ。

違うのは休憩の時間。

平日は15分。土曜は20分。

だけど、今日は練習内容を変えるみたい。

9時−

いつもなら、部長が

『はーい、練習を始めます。起立、礼、お願いします』

と言って練習が始まるが、今日は

「はい、みんな集合」

と手を叩き、みんなを記録台の前に集める。

「なに?」

腕組みをした先輩が聞いた。

「今から言うね。…寒川君、明後日何があると思う?」

「えっと…明後日は…。あっ、発表がある」

「うん、そうだね。何の発表?」

「1年生部活動紹介」

「そう、それについて。みんな、今日は練習時間を削って発表練習するよ」

話しながら、記録台の引き出しから原稿用紙を出しみんなに配る。

「とりあえず、通して読んでその後隣の部屋行こうか」

「「「「はい」」」」

あれから、約2時間。

満足するまで読み通して変だった箇所や、パワポを直した。

途中、副顧問がやってきて今月分のお菓子を受け取った。

「みんな、何人来てほしい?」

記録台の隣に置かれた机‐お菓子箱を時計わまりに部長、寒川先輩、先輩、千紗、私が座る。

チョコを齧りながら部長が聞く。

「私は、3人がいいです」

クッキーの袋を折りながら、千紗が応える。

「3人か、私はもう後2人欲しいな」

新たにチョコを取りながら部長は呟いた。

「なんで?」

寒川先輩と煎餅をシェアしていた先輩が言う。

「人数が多いほうが楽しいから!」

「へー、寒川、佐々木さんはどう?」

「私は、千紗と同じく3人ぐらいでいいと思います」

寒川先輩に煎餅を貰いながら、応える。

「俺もそれぐらいがいい」

「えー‥なんで?人数が多いほうが楽しいし、話せる人増えるのに…。なんで3人ぐらいがいいの?」

口をとがらせる。

「だって、3人以下が一番全員に目をかけることができるから」 

ゴミを捨てるため、先輩は立ちながらそう口に出した。

「でも、3人以上でも全員でよく考えて分担すれば全員に目にかけるやん」

「…そうだけどさ‥。やっぱさ、一人一人丁寧に教えてあげたいんだよ」

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