第17話

ゆっくり行き過ぎた。

現在8時12分。

無料駐車にチャリを停め、走って駅に向かっているとき

「おはよう、優奈」

と、時計台の裏から千紗が手を振りながら私に声を掛けてきた。

「おはよう、千紗。遅れてごめん」

「あぁ、別に気にしなくていいよ」

「ほんまに?」

「うん」

千紗のチャリは私のところから少し離れた場所に置かれていた。

学校に着くまでの間、駄弁る。

「ねぇ、千紗ってどこから来てるの?」 

「MT市」

「そんなところから…。すごいね」

ここから車で20分かかるところだ。

「すごくないよ、KM町のすぐ隣だから」

「それでも遠いよ」

「えぇ、そうかな。優奈はどこなの?」

「ここの駅、HK駅から30分行ったところ」

「そうなの」

「そう言えば、優奈。昨日は珍しく残ってたね。どうして?」

「一年生の時の記録を確認したかったから。千紗は何時まで残ったの?」

「昨日は…七時ぐらいかな」

「そんなに残ってたんだ」

「うん。でも、いつもより早いよ」

「うっそー…いつも何時までなの?」

「ニ十分」

うそーん‥。すげー。

「すごい」

「すごくないよ、ただ先輩がしているだけだから」

学校に着いた。

チャリを押して、駐輪場まで行く。

5組と2組では停める場所が違うから、千紗は2階に上がる。

「そう言えば、2階ってどうなんだろう」

気になった私はすぐに準備をし、2階に上がった。

「あれ?優奈、来たんだ」

お茶を飲みながら、千紗が言う。

「うん、2階がどんなものか見てみたかったから」

「1階とそんなに変わらないよ」

「それはそうだけど」

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