第14話 下校
「お疲れ様でした」
と元気よく挨拶をすると
ほそぼそと皆が、
「お疲れ様でした」
と言葉を返す。
薄暗い旧校舎を歩きながら、今日はおばちゃんちに寄ろうと考え、歩くスピードを速める。
途中、自販機に寄ってジュースを買おうと思ったが辞めにした。
そのまま、駐輪場に向かい私は学校を出た。
―
おばちゃんちは学校から約15分の距離にある。
だから、月に4〜7回ほど行く。
ちなみに、いとこの家と私の家の丁度間ぐらいにあるので時折弟といとこ(みぃちゃん)が一緒にゲームをしている。
大好きな歌を小さく歌っているといつの間にかおばちゃんちの付近まで来ていた。
「昨日ぶり」
玄関前でチャリを降り、こいで中に入る。
立派な松の木の横に置き、
「おばちゃん、来たよ!」
と声を掛け、引き戸を引きリビングに入った。
愛猫の【コロン】が足元にすり寄ってきた。
しゃがんで頭を撫でる。
その時、寝間着姿のおばちゃんが隣の台所から顔を出した。
「優奈、今日も来てくれたの。さぁ、これでも飲みなさい」
と、湯気が立っているお茶を渡す。
「はーい、ありがとう」
と言いふーふーし、冷まし、慎重に一口飲む。
「アチッ」
まだ熱かった。
ソファーに座って、新聞紙の4コマ漫画を見る。
意外と面白い。
「優奈、いつ帰るの?」
向かいのソファに腰を掛けたおばちゃんが茶を飲みながら言った。
「これ飲んだら」
「そう、あっ、優奈?お母さんに言っといてくれん?」
「なに?」
新聞紙から目を離す。
「今使っている炊飯器が壊れそうだから来週の土日どっちか空いてたら家電屋に連れってくれん?って」
「うん、分かった」
「お願いね」
そして、30分ぐらいおばちゃんと談笑しお茶を飲み切った。
帰り間際、
「優奈、ちょと待って」
と私を止め、台所へ入った。
少しして、何かがぎっちぎっちに詰まったタッパーを持ってきた。
「おばちゃん、これ何?」
「作りすぎたおかず達。―優奈が好きな卵焼きも入っているよ」
「そうなの?ありがとう。帰ったらすぐに食べる」
タッパーを受け取り、
「じゃ、おばちゃん。また来るね」
と手を振り、家を出た。
おばちゃん特製、おかずタッパー。
帰って食べるのが楽しみだ。
けど…、
「タッパー、どこに入れよう…」
しまう場所に悩んだ。袋があれば。あっ、そうだおばちゃんに貰えばいいんだ。
「…よし、おばーちゃん!ふくろー」
と再び家に戻り、また少し話をした。
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