第13話 部活6

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赤ペンでそう書く。

(やっぱミスないか。さすが)

席を立ち、台に行く。先に、審査が終わっていた千紗がファイルに記録を書いていた。

「千紗、私ミスしてた?」

「うん」

「何ミス?」

「2」

「うそっ!?どこミスってた?」

「過程が家庭に変わっていた」

「あー…」

書き終わると、千紗は隣の机へと移った。

ファイルに間違いを書くためだ。

同じように、記録を書きもう一つのファイルに線を引く。

次に、六車先輩、寒川先輩、先輩が書く。

その間に、私たちは明日の問題を5本出しながら、私たちの名前を書いていく。

先輩が棚に問題を戻す。

少しして、ガラッと部活の扉が開いた。

顧問・浦野先生が来た。

「終わった?」

と声を上げた。

皆のところに来ると

「六車さん、挨拶をお願いします」

「はい。気をつけ、礼、ありがとうございました」

これで部活が終わった。

寒川先輩はパソコンの電源を切っていたので、バッグを背負うとすぐに帰っていった。

六車先輩はちょろっと打つと、本を片手に帰っていった。

いつもだったら、私は寒川先輩の後に続いて帰るのだが今日は違う。

千紗に『一緒に帰ろう』と声をかけるために残っているのだ。

「…」

今、思えば残ったのは初めてかも。

文章打ちながら、周りを見てみると隣には千紗、右斜め前に先輩がいる。

どちらも、真剣に文章を打っている。

「…」

手が止まった。席を立ち、台に行く。

ファイルを開き、今までの記録を見る。

「…」

自分と千紗は初めは似たような記録だった。

新人大会の時までは。

大体、800文字ぐらい。

「…」

思い出した。千紗、新人大会の時MSの子に負けて泣いていたんだ。

私はけろっとしていたけど。

「あの時からかー、差がついたのは。ははっ」

笑える。

「さぁ、帰ろ」

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