第11話 部活4

あれから、少しして次の単語登録が思いつかなくなった先輩は席へと戻った。 

その後を私たちはついていった。

キーボードの位置を調整し、タイマーを10分3秒に設定する。

「第108回実務商業岡山です。佐々木さん、お願いします」

文章のタイトルを六車先輩は読み上げる。

「はい。十分測ります。よーい」

原稿台にセットし、クリップを挟む。

ピピッ、タイマーが鳴った。ほぼ同時に言う。

「始め!」

―5分経過。

今の文字数はだいだい530文字。

もしかしたら、1100文字いけるかもしれない。

「残り2分!」

今の文字数は900文字前。

いける。絶対いける!うん。

―「10秒」

よし!

…ピピッ。

「やめ!」

タイマーを止める。

よし、よし!胸の鼓動が速くなっていく。

よし、1100文字超えることができた。

さぁ、何文字か。

最後の文章の文字数が1144で、4文字打ててないから引いて1140。

やった。1100文字超えることができた。

速くなっていく鼓動を抑えながら、前にある先生の机(旧式)に行く。

ファイルを開き、ペン立てからボールペンを取る。

自分の名前の欄に文字数を記録する。___と。

書き終わると、後ろにいた先輩に渡す。

「ありがとう」

「いえいえ」

少し右に回り、先輩の記録を見る。

(1587文字。ということは千紗の記録もそれぐらいなんだろうな)

目を千紗にやる。ノートに文字数とESとBS…後、何を書いているのだろう。

「うわっ、真由香に負けた」

私の隣では、 六車先輩が悔しがっていた。

「負けたと言っても、7文字差なんだけどな」

「そうだけどさ〜。あっ、寒川君。寒川君どうだった?」

問題を返していた、寒川先輩に聞く。

「俺?俺は…1700ぐらい」

「うっ…、やっぱすごい」

「ねぇー」

―目を先輩に向ける。

その間、千紗は前に来ていた。ボールペンを何度もカチカチとさせ、記録を書く。

(さて、なんぼかな〜。聞いてみよ)

「千紗、なんぼだった?」

「えっとね、」

ファイルに目を落とす。

「1525。あっ、優奈。1100文字いったんだね」

「うん。これからも、安定して1100文字打てるようにしなくちゃ」

「うん」

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