第3話 相談

「うわーん、千紗!また目標字数に届かなかったよ」

朝練が終わり、部室を出た瞬間私は千紗に抱きついた。

「惜しかったね。…でも、後二十文字。二十文字打てれば、1100文字超えることが出来るんだよ?」

拳を胸に当て、歩き始める。

「そうだけどさ~。それができないんだよ」

ずるずると引きづられてゆく。

普通に考えると恥ずかしい行為だが、ここは旧校舎3階の端。しかも、SHR5分前なので誰もいない。

「‥だったらさ、私と同じ時間に朝練来てよ」

階段が目の前に現れた時、千紗は私を見た。

「同じ時間?」

千紗の腰に当てていた手を離し、体勢を整え一緒に階段を降りて行く。

「うん」

「それって…何時なの?」

恐る恐る聞く。

「七時半」

「あっ…」

思ったより早かった。

「驚いた?」

にかっと笑う。

「うん。千紗がこんなに早く来ていると思わなかった。いつから、そうしてるの?」

「新人大会の頃から」

おぉ、そんな時から。

「優奈、その時からついていたよね。遅刻癖」

グサッ

「うん…」

思いっきり心に突き刺さった。

下を向く。

「…優奈、明日から私と一緒に行かない?学校に」

意外なお誘いだ。1年間共にして、初めて聞いた。

「えっ?千紗、家はどこなん?」

「優奈と同じK町」

「えっ…なんで知っとん?」

「前、話したでしょ」

前っていつ?

「集合場所はHK駅。時間は、7時15分」

「早っ!なんで?」

思わず、思ったことが口に出てしまった。

その時、新校舎3階についていたことを知った。

「朝練に間に合うためだよ。―じゃ、また後でね」

「ちょ!」

納得がいかないまま、千紗は手を振って教室の中へ入ってしまった。

「…部活の時、詳しく聞こ」

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