第2話 登校

「間に合うかな」

バックをかごに入れ、チャリの鍵を外す。 

流れるようにチャリに乗り、ゆっくりと漕ぎ出しゆく。

今日は、最高のチャリ日。

天気は曇り、風は微風。

すいすいと、漕いで行ける。

「間に合う、はず」

その言葉通り、いつもより2分早く学校に着けた。

それでも、朝練に間に合うか間に合わないかのギリギリの時間。

私は息を切らせながら旧校舎へ向かう。

その途中、

「あれ?佐々木さん?」

「えっ、先輩?」

私と同じく、前を走っていた人が振り返った。

(髪をくくっていたから、気づかなかった)

「どうしたの?そんなに慌てて」

のんびり口を開く。

「朝練に間に合いそうにないからです」

「私と一緒だね」

さらりと先輩は言う。

「そうですね」

二人は、校舎に入り3階へ駆け上がる。

右に曲がり、部室『文書計算実務準備室(ワープロ部)』に入る。

【おはようございます】と挨拶をし、それぞれ席に座る。

「優奈、おはよう。今日も遅刻ギリギリだったね」

隣に座って、タイピング練習をしている千紗が言った。

「…ん」

何も言い返すことができない。 

バックを席の後ろに置き、パソコンの電源をつけ、ワードを起動させる。

「全員、揃った?」

六車先輩が、背を伸ばし部室全体を見渡す。

「…揃っているみたい。じゃ、練習始めよう」

席に座りながら話す。

「―十分計ります。‥よーい、始め!」

その言葉を合図に、皆一斉に文章を打ち始める。

(今日こそは、1100文字を超える!)

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