第11話 月 日 (こんなの食べ放題じゃない!)
IT業界で「本番作業」というと、現状の環境に対して手を加える作業、異なる状態に変更する作業を意味する。即ちメンバ全員の神経がすり減る所業であり、しかし重要な仕事のことを言う。
仕事は終わった。すり減った神経を癒すために、担当メンバの皆んなと飲みに行った。リクエストは焼肉である。
お店側が食べ放題をプッシュしてた事と皆んなからの要望を受け入れ食べ放題にした。
それは落とし穴だった。
ノルマがあるのである。つまり、本当の食べ放題に突入する前に「この分量をまず食べ切って下さい」という義務を課せられるのだ。
そのノルマが尋常ではなく、ノルマだけでテーブルが埋まってしまった。こんなに食べなきゃいけないのか。
ぶっきらぼうな店員さんがノルマの説明をする。それを聞いて、全員が、そんなの後出しじゃん・・・と思ったのである。
ノルマをこなす。頑張って食べる。
フェンスの網目に挟まったボールを必死に取らされる作業を強いられている・・・というか・・・・
ノルマのお肉は分量も多いし、上級でもない。しばらくの間、無くならなかった。
ノルマ分をようやく食べ切った。時間がかかった。
いよいよ食べ放題ゾーンに突入。ここぞとばかり、若手は食べる。上カルビ、厚切り牛タン、などなど。
「すみませーん!」と店員さんを呼んでも対応は雑。対応は塩。顔は無表情。態度は冷え冷え。品行は卑劣。
それにしてもなおノルマ分を先に食べさせられているので、皆んな、お腹いっぱいになってくる。ビールも飲んでるから尚更だ。
いつも通り、「人間と平和」についての僕の喋りに誰も耳を傾けていなかった。
次回から食べ放題はやめておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます