第48話 一念発起
かのんちゃん、もうかなりおかしくなっちゃっている。
私たちでなんとかしなきゃ。
美和さんはハウスの自分の部屋に戻り,管理人室には私たち三人でお泊りすることになった。
三人だけになったところで、私と小夜ちゃんは、かのんちゃんに、このシェアハウスのおかしいところを説明した。でも、暖簾に腕押し、糠に釘、柳に風で、かのんちゃんはまともに取り合ってくれなかった。
時計を見るともう十一時、おやすみの時間だ。
小夜ちゃんはベッドの下にお布団を敷き、私はかのんちゃんと二人でベッドに入った。
夜中にふと目を覚ますと、かのんちゃんはすっぽんぽんになっていた。ベッドの外にパジャマと下着が脱ぎ捨ててある。かのんちゃん、寝る時も裸って言ってたから、これもいつもの癖なのかな?
「そんな恰好で寝ると、風邪ひいちゃうよ」
そう声をかけようとしたら。かのんちゃんが私に抱きついてきた。
「ねえさま」
「もう、かのんちゃん、私は彩夏、ねえさまじゃな、、んっ」
いきなりキスされた。
かのんちゃん、キス、すごく慣れている感じ。
これがファーストキスだった私は、頭がぼーっとなってしまって、抵抗ができなかった。
気が付くと、私のパジャマは下着ごと腰骨の辺りまでずり下げられ、かのんちゃんの右手がするすると私の下着の中に入って来た。彼女の細い指が、私のクレバスに迫る。
それでも私は金縛りにあったように体を動かす頃ができず、唇はキスでふさがれたままで声も出せなかった。
(やめ、かのんちゃ、あんっ)
かのんちゃんの細い指が私のスイッチを押し、身体に甘美な感覚が走った。
ああ、もうだめだ。かのんちゃんはやっぱり大人だったんだ。今夜、私はかのんちゃんに思うさま弄≪もてあそ≫ばれちゃうんだ。
観念して目をつぶり、彼女を受け入れるべく膝の力を弛めた時、指の動きが止まった。
どうやらかのんちゃんは本当に寝ぼけていただけだったみたいだ。
中途半端なところで放り出された私は、すやすやと寝息を立てるかのんちゃんの腕の中で、まんじりともせずに朝を迎えた。
「あれ、なんで私、裸なのかな。 ん、彩夏ちゃん、なんか顔が赤いよ」
翌朝目を覚ましたかのんちゃんは、案の定、昨夜のことは何も覚えていなかった。
私は、恥ずかしいやら、悔しいやらで、かのんちゃんの顔をまともに見れなかった。
でも、同時に、私の中に強い使命感が芽生えた。
私は、友人として、かのんちゃんをこの魔窟から救い出し、目を覚まさせてあげなければならない。
朝食はハウスのリビングで五人で取った。
私は淳史さんと美和さんに言った。
「私、ここ、すごく気に入っちゃいました。また遊びに来てもいいですか」
「あ、いいよ。いつでもおいで」
絶対、決定的な証拠をつかんで、かのんちゃんの目を覚ましてみせる。私は心に固くそう誓った。
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