第36話 合縁奇縁≪あいえんきえん≫
「ぼくのママになってください!」
「こらこら、そんなことを言って先生を困らせてはいけないよ」と言おうとしたつばさくんパパを制して、私はつばさくんに返事をした。
「うれしい。私もつばさくんのママになりたい!」
「わーい、やったー!」とはしゃぐつばさくんに、私はことばを続けた。
「でも、私、つばさくんのママのこと知ってるよ。保育園にお迎えにきてたもの。あのママのことは、もういいのかな」
「あ、そうか、うーん、どうしようかな」
しばらく首をひねって考えていたつばさくんは、それでもきっぱりと言い切ってくれた。
「やっぱりひなた先生がいい!」
つばさくんとしばしゲームで遊んだ後、お眠になった彼を寝かしつけ、私はつばさくんパパと対峙した。
つばさくんは、男らしく、きっぱりと、意思表示をしてくれました。さあ、つばさくんパパ、風間渉≪わたる≫さん、あなたはどうするんですか。
「つばさが変なことを言って、申し訳ありませんでした」
「いえ、ちっとも変なことじゃないです。私は本気ですよ」
私は渉さんの目を見て答えた。
「で、でも、私と先生とじゃ、年が違い過ぎて、とても釣り合わないですよね」
「どうしてですか。たった一回りしか違いませんよ」
「それに、ほら、子持ちだし」
「出産ってすごく大変そうじゃないですか。その苦労なしにつばさくんのお母さんになれるなんて、私は願ったり叶ったりですけど」
それでも煮え切らない態度で、自分を卑下し、私にプロポーズできないい理由を並べ立てようとする渉さんに、私の頭の中で何かがプツンと音を立てて切れた。
「結論が出ないみたいだから、いったんこの話題は止めにして、ゲームの続きでもしませんか」
私は、つばさくんと「名前当てゲーム」をやっていた。目隠ししてものを触り、それが何だか当てるゲームだ。
明らかにほっとした様子の彼を床に座らせ、私は彼にタオルで目隠しをした。
「これから手に触るものが何かを当ててくださいね」
私は下半身だけ裸になると、彼の手を私の股間に導いた。
彼は最初は恐る恐る、やがて少し大胆に指を動かして感触を探っていた渉さんは、ようやくそれが何であるかに気付き、狼狽も露わに慌てて手を引いた。
私は、目隠しをしたままの彼を突きとばすと、顔に背を向ける形で彼の胸のあたりに馬乗りになった。すかさずスラックスのベルトを外し、ジッパーを押し下げ、その中に手を入れた。布越しに感じる彼の男性はまだ縮こまったままだった。
ここまでやって、ようやく我に返った私はおずおずと彼の身体から下りた。。
「ごめんなさい」とうなだれる私に、彼は言ってくれた。
「あの、さすがにここではなんですから、寝室に行きませんか」
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