第32話 乾坤一擲≪けんこんいってき≫
「大人の女が好きな人と何をするのか、かのんちゃんに見てもらいたいの」
すっぽんぽんになった美和ねえさまがそう言った。
きっと、大人の男女がするというあれが始まるのだ。私はベッドから下り、床に座った。興味津々なのと緊張で胸がドキドキだ。
淳史がねえさまの顔から首筋にキスをしていくと、ねえさまが、身をよじらせながら声を上げた。
あっ、今度はねえさまが淳史のパジャマを脱がせにかかった。
大人の男の人の裸をナマで見るのは初めてだったけど、想像してたのと全然違って、あれも大きくてグロテスクで、うゎ、大人の男ってこんななんだとすごくびっくりした。
子どもをつくる時は、男女がそのおしべとめしべをくっつけるという。男の人のおしべはこれとして、一体これを女の人にどうくっつけるの?
あっ、ねえさまが淳史の腰に馬乗りになった。
「だめ、お股が裂けちゃう、ねえさま、やめて!」
泣きながらねえさまに抱きつこうとして、いつの間にか部屋に入ってきていた遥さんに後ろから優しく抱き止められた。
「かのんちゃん、美和さんは大丈夫だから、ちゃんと見ててあげて」
あの理知的なねえさまが、淳史の上に跨り、口を半開きにした阿呆≪あほう≫みたいな顔で唸り声をあげている。普段のねえさまとはまるっきり別人だ。
とても苦しそうなので心配したが、やがて、ねえさまは苦しいのではない、悦≪よろこ≫んでいるのだ、と気がついた。
そう思うと、阿呆みたいなねえさまの顔もどこか神々しく見えてくる。狐憑きか、悪魔召喚の儀式かと思った行為も、何か神聖なものに思えてくる。
今度は淳史が上になった。
ねえさまは大きく腰を弾ませ、やがてひときわ大きな声を上げて、動かなくなってしまった。
「ねえさま、ねえさま、大丈夫、しっかりして!」
私は泣きながら美和ねえさまにすがりついた。
「ん、大丈夫よ、かのん」
満ち足りた表情をした美和ねえさまは、私の手をとって自分のお股に導いた。
ねえさまのそこはるつぼのように熱く、そしてぐしょぐしょに濡れていた。
「大人の女はね、ここがこういう風になって、男の人を受け入れるんだよ」
「無理、無理、私にはできないわ」
「かのんちゃんは敦ちゃんと家族を作るんでしょ。怯≪ひる≫んでいてはだめよ」
「大人になったら、私もできるようになるの」
「身体が大人になるがけじゃだめ、心からそれを望まないと」
「かのんが淳史とする時は、ねえさまも一緒よ。きっとよ、約束して」
「うん、約束する」
「かのん、大好きだよ」
美和ねえさまは、私を優しく抱きしめると、さっき淳史としたのと同じキスを私にしてくれた。
私のファーストキスだった。
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