第18話 円満和解

 お昼近くに帰宅すると、当然のことながら三人から無断外泊の追及を受けた。特にシフトをすっぽかしてしまった真優はひどくお冠りだった。


 さらに遥さんにプロポーズをした旨を打ち明けると、案の定、蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。

 遥さんに関する執拗な尋問を受けた後、ただちにその雌ブタををここに呼びなさいということになり、我がシェアハウスに、遥さんが押っ取り刀で駆け付けた。


 予想通り、遥さんと三人の対面はこれ以上ない険悪な雰囲気で始まった。

 自己紹介もそこそこに、真優が遥さんに罵声を浴びせる。


「あなたが純真無垢な高校生を、自分の性欲を満たすために性奴隷に調教した女狐かしら」


 ひなたと美和も容赦ない。

「治療と偽って淳史を強姦した性犯罪者」だの「一回りも年下の男の身体をもてあそんだ盛りのついた雌犬」だのと言いたい放題だ。


 遥さんも負けずに言い返す。

「あんたらこそ、無理やり淳史くんに関係を迫った、準強姦女のくせに」


 喧々諤々≪けんけんがくがく≫、紛糾する場が、遥さんの一言で流れが変わった。

「あなたたちが言う通り私はおばさん、彼を一人で相手するのは体力的に無理。私は、淳史くんを独占するつもりも、あなたたちを排除する気持ちもないわ」


 三人が静まった。すかさず彼女が妥協案を提案した。


「ちょうど火事で焼け出されて困っていたのよ。住まいも私がここに引っ越してくる。あなたたちは三人の仲間が四人になったと思ってくれたらいいわ」


「私たち、最低でも2週間で3回のシフトで回しているの。彼との回数が減らされるのはごめんだわ」と真優。


「ということは、14日中9日はあなたたちのものということね。いいわ、私はその残りの日をもらう。それでも足りなくなった時は、休日をダブルヘッダーにするとか、そもそもこうなった原因は淳史くんなんだから、彼にしっかり責任を取ってもらいましょう」

 

 三人は顔を見合わせてうなずき合った。


「それよりも、肝心なのは、淳史くんが私たち以外の女と関係を持たないようにすること。私たちは共通の目的を持った同士よ!」


「「「おー」」」


 なんか、急に話がまとまった。


 早速新しい同居人となる遥さんの歓迎会となった。

 にぎやかな宴がお開きが近づくと、今日のシフトは誰かという話になった。

「今日は彼の休養日だから私」と主張する遥さんと、昨日の埋め合わせを主張する真優さんのじゃんけんとなり、遥さんが勝利した。


 そして遥さんは、今俺のベッドの中にいる。


「一日で決着がつくとは想像してなかった。遥さん、ありがとう」


「内助の功ってやつかしらね。でも、2週間にたった5日とは大きな誤算だわ。せめて今夜はしっかりサービスしてもらおうかしら」


 遥さんへの最大級の感謝の気持ちを込めて、俺は過去最高の本気で彼女に臨んだ。


「あ、もうダメ、止めて、お願い」

「これ以上は、絶対無理、堪忍して」

「ホントに変になっちゃう」

 

 遥さんは、息も絶え絶えに俺の太ももをタップし、ギブアップを宣言した。



            第一部(完)

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