第6話ほうれん草(シンプルなタイトル。こだわりと逆張りの狭間で。)

 ほうれん草というとおひたしを想像する方も多いと思うが、今日食べたのはバター炒めだった。あいつ、健全で素朴そうな外見のくせして全国の小学生の初めて(の調理実習の大半)を奪っており、その上誰(どんな食材)とでもマッチングするとんでもない輩である。……ほうれん草の話ね。


 さて、最近新しい趣味ができた。私は自分の好きなことを話し出すと止まらないが、新参者としてそれであまり大きい顔をしたくないという、一言にまとめれば非常にオタクっぽい性格をしている。そのため、新しい趣味を話す時に相反しそうなこの二つの性格を上手く両立させることを目的に前置きを書くのをご容赦いただきたい。以上が短い前置きの長い前置きであった。

 この形式段落の終了後、私が持ち前の偉そうな文章で講釈を垂れるが、なにぶん素人なので遠くで自称文学青年が何か吠えてらあ、程度の立場で。


 さんざん引き延ばしたが、趣味というのは短歌のことである。きっかけは短歌を題材にした漫画を読んだからである。ネットの海に漂っていたところを見つけたのだが、それは三十一文字みそひともじに凝縮された芸術と、曲がっているのかまっすぐなのか分からないが応援したくなる主人公の成長と、それに少しの(ここ重要)が詰め込まれたなんとも贅沢なものであった。一応名前は出さないが、ネットの検索欄に「漫画 呪文よ世界を」と入力したら出てくると思われる。平安時代から続く文芸界のビッグウェーブ、これは乗るしかない。おすすめである。

 という訳でまんまと短歌の魅力の虜となったのだが、それについての教養はあまりない。歌集というと、せいぜい俵万〇ぐらいである。いたく感動した記憶はあるが、それから他の人の作品に手を伸ばす、ということもしなかった。まあそれは長く続けばおいおい勉強することとして、では現在は何をやっているかというと、詠む側である。一日の中で印象に残っている景色、目を奪われた瞬間、常々自分が思っていること、つまらない授業中に考えついた面白いこと、とにかく「形にしたい」と思ったもの何でもを短歌としてまとめる。すこしだけ観察眼や言語化能力が鋭くなった気がして楽しいものである。

 ちなみに、できた短歌は#短歌や#毎日短歌などのタグをつけて電子の海に放している。たまに野生のプロに遭遇するので見るだけでも面白いと思う。隙あらば布教。


 趣味の話になったらなんだか率直な文章になった気がする。短い言葉で強い気持ちを表す短歌のことだからだろうか。これはこれでいいような気もする。……が、やっぱりおどけた文章は書きたいので、この気持ちはそのうち別作品で発散しようと思う。キャッチコピーは「ネット小説タイトル情報量薄さ選手権優勝候補(仮)」である。御期待を乞おう。

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