第5話蓮根
蓮根は、まあぶっちゃけ好きでも嫌いでもないのだが、我が家の筑前煮だけは別である。美味い。あんな硬そうな蓮の根っこを出汁で煮ようと思った人と、少なくない具材を用意して
前回の幕あい更新から半月以上経ってしまった。まあ当然のことだろう、夏休みの宿題の三分の二以上を十日で終わらせようとしたのだから。やれやれ、親譲りの、ぎりぎりにならないと真剣にならない
親譲りと書いて思いついたが、どこかで家族についても記しておきたい。私の溢れんばかりの家族愛で今ここに書くのははばかられるほどの量になろうから割愛する。今はただこれがフェルマーの最終定理にならないことを願うばかりだ。
さて、タイから帰った後の休暇は特別面白いこともなかったので、ここ一週間ほどに起こったことを書こう。ほぼ趣味でやっている図書委員会の話である。
まず前者。私の学校では一年に一度、ビブリオバトルが開催される。皆さんは無論ご存じであろう、知的書評合戦である。私は図書委員会の、(内申には反映されないが)そこそこ偉い立場にいるため、現場で運営の一端を担った。タイマーや演台を用意して、さあ聴くぞと居住まいを正す。うんうん、なるほど。へえ、そんな本があるのか。あれ、さっきからエピソードを話すばかりだな。その本を薦める理由も話しておいた方がよくないか。あ、時間時間!......語り足りなさそうだったな。まあ好きなシーンを語ると熱くなるもんな、それが一番愛が伝わってくるまである。思わずフォローを入れたくなったし、ものすごく上手いという訳でもなかったが、それでも穏やかな表情で最後まで聴くことができた。問題はここからである。
「あまり本とか読まないんですけど」という悲しすぎる前置き!
「一番読みたい本」が勝負の基準なのに超有名大衆小説!!
挙句の果てにはルール違反の原稿持ち込みと来やがった!!!
び、ビブリオバトルが全く浸透してねえ!!!!
発表を聞いてきた時はもうそういうのいいやと諦めモードであったが、文字に起こしたら腹の虫の収まりが悪くなってきた。私も別に有識者ではない。ビブリオバトルも数回、これもまた国語の授業で経験した程度だ。それでもとても楽しかった記憶は残っているし、興味の炎はまだ消えていない。私と同じような人間が同世代では多くないとは感じているが、それでもこれが我が校の水準だと考えると少し心が痛む。が、碌に準備もしなかった私にも責任の一端がある。委員会の後輩に運営を託す来年までに、少しでもビブリオバトルの普及に尽力したい。
何はともあれ、表面上とりあえず運営は成功、私もわだかまりが残るものの発表を楽しむことができた。ああ、発表者の名誉のために加えるが、ビブリオバトルがどうであろうと、本についてのスピーチ(台本あり)は皮肉抜きに面白かった。それに関しては私は母校を誇りに思う。彼らの技術がただ舞台にそぐわなかっただけだ。
あまり愚痴は書きたくないのだが、つい熱くこだわりを語ってしまった。文章は気取っているものの、厄介オタクという私の核がしゃしゃり出ていたかもしれない。次回こそは余裕と皮肉、それに自嘲たっぷりで平和な日常を書きたいものだ。
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