第27話 1階の見学
フランツ教頭の長い学校説明を絶えぬいた我々は、校舎の中へと足を踏み入れた。
校舎へと入ると1つの違和感に、気づく。外から校舎を見た時よりも、廊下が長く感じたからだ。
それを聞こうにもフランツ教頭は、どんどんと先に進んでしまう。
僕たちが、まず先に通されたのは、校長室だった。
校長は|墨色のローブを着込み、白いの長い髪、みごとな髭貯えた、年老いた老紳士で、どから見ても由緒正しい魔法使いで、僕は思わず感動さえした。
ヘデック カフェティーと名乗った校長は、挨拶もそこそこに「急ぎの用がある」と言って僕たちを校長から追い出した。
校長室から出ると、フランツ教頭は襟を正しいふたたび学校の説明を始める。
「11歳の9月にこの学校に入学した生徒は、16歳7ヶ月の卒業までこの校舎で、ほぼ、すごす事になります」
「あぁ、長く変わり映えのしない学校生活だった」
「そうだろね。君は良くも悪くも何かと目を引いて、顔の知れた人物になったし、君に会いに行く者も多かったから変わり映えしない様に思えたかもしれない。こちらとしてはその為に、何かと手を焼いたがね」
――今回の見学、ぬいぬいが何か言う度に、何か過去の
「1階の1年の教室からご案内いたします。1年で、一般教養と魔法学の初歩の精霊魔術、妖術、自然魔術、悪霊魔術を学びます」
「魔法と言っても、属性の魔法だけではないのですね……」
僕がそう言うとぬいぬいが――。
「そうだ。それを浅い知識ではあるが、目で見て知るのには魔法学校はもってこいだ。俺よりちゃんとしたガイドがついているしな」と、今日、魔法学校に来た意味について教えてくれた。
1年の教室を覗く。白いワイシャツに、テーラーカラーの黒の制服を着た、生徒達が理科の勉強を受けていた。
最初、黒板の文字は読めない部分があったが、先生の声に合わせて違和感がなく、文字が読めるようになった。
たぶん、その過程を経験しているのは、僕たち世界転移を経験して来た一部のユニークスキルを得た者だけなのかもしれない。
もしくは、言葉は理解できるものという魔法が働き理解できるようになったのかもしれないが、この言語変換機能は本当に、便利ですばらしい。
しかし僕で研究されてはかなわないので、その事については、聞かれるまで言うつもりは無かった。
廊下に目を向けると、さつきまで理解出来なかったクラスの学年組を知らせる場所に、『スミス ウォーリア』と文字が書いてある。
「フランツ教頭、スミス ウォーリアは、あの先生のお名前ですか?」
と、尋ねると――。
「そうですが、何か? 教科担当の先生の教室へ、学び来る生徒が訪れる。ごく普通のシステムをここでも採用しています」
「じゃーいつも固定の生徒のいる。教室ってないのですか?」
「ハウスのホームの事でしょうか? 5学年全ての生徒が、縦割りで同じハウス、4つの寮へ入ります。校舎ではその
――僕はある映画を思い出し、一人でなんか感動した。そしてもう年齢的に、絶対入学出来ない事に落ち込んだ。
「ぬいぬい君も五年生の時に、ハウスリーダーをやっているので……。詳しくはぬいぬい君に、聞くといいでしょう」
今まで、眠たそうに校庭を見ていたぬいぬいだが、急に話を振られて目を丸くすると。
「いや、細かい事はあるるが、仕切ってたんで話せる事はあまりないぞ」
と、ぶっきらぼうに答えた。
「それでも問われたら、話せる事はあるでしょう」
「『先人は、窓口は大きくあるべきです」
教頭が、ぬいぬいに語り――。
「そして後輩の、見本たらんと
ぬいぬいの魔法学校時代が、思い浮かぶほどのやりとりをただ
「あの……ぬいぬいは、」
――師匠としてちゃんと教えてくれます。
と、繋げようとしたが――ルイスが、会話にわって入る。
「ぬいぬい様は、ツンデレなだけで、師匠として立派な方だと聞き及んでおります。」
「「ツンデレ……」」
僕とぬいぬいは、そう言って絶句したが……。
フランツ教頭だけは――。
「そう言えば君は、そう言うところはあるね」
と、納得したようだ。
「じゃー工房を案内しょう」と、校内の案内の為、歩き出してしまった。
工房幾つかと、校庭に出て、兵士の練習場をひと回りし、別の小さくした練習場と魔法植物の為の温室と魔法動物の飼育施設を軽く見て、再び室内に入る。
「では、2年、3年の使う上の階にご案内します」
フランツ教頭は、階段を上がっていくのであった。
続く
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