ホイルトツェリオ魔法学校
第25話 ぬいぬいからの思わぬ提案
魔法訓練から少し足取りを重くして帰る。
魔法の修行での素晴らしい経験は、もちろんかけがえのないものだったが、しかしそれと同じ重さの疲れにふと気を抜いた時、気付いた。
これが魔力切れなのかはどうかは医務室でもよくわからないそうで、とりあえずヒーラーの回復魔法を受け。MP回復用のドリンクの試薬品一本を貰って飲んで来たがすぐさま全てが、回復ってわけにはいかないようだ……。
☆★
勇者の間の玄関では、シルスさんの同僚の ジャスバイさんが僕に「お疲れ様です」っと声をかけてくれる。
「ただいま帰りました。ですが、入浴して砂を落として、着替えたら、また練習場にとんぼ返りなんで、シルスさんはそのまま練習場にぬいぬいと待機して貰ってます」
「あぁ、なるほど。あの練習場の砂はサラサラだから、洋服は一度、別に洗った方がいいですよ。一度洗っただけではどこかしらに入ってしまった砂は、なかなか取れないんですよ……」
そんな過去を思い出したのだろう彼は、少し苦笑いの顔で僕にそう助言をしてくれた。
「それは少しやだなぁ……でも、ありがとうてうございます。教えてくれて」と、僕は手を振って別れた。
玄関を開けるとすぐに扉のベルを聞きつけ、2階の階段からルイスが降りてくる。
「おかえりなさいませ、ハヤト」
「ただいま! ルイス。あのですねぇ……ルイス、僕は結構砂まみれなったので、お風呂と着替えに戻ったのだけれど、執事と主人では無く。同じパーティーメンバーとして聞くのだけど……、午後もやはり執事の仕事とが忙しいですか? 僕たち、これから兵士の練習場で一緒にご飯を食べない? その後、街の見学をして来ようと思っていて……。一緒に行きませんか?」
僕は、ルイスの顔を見るや、いなや、考えていた事を彼に向かってやや早口で、いっきに話した。
どれも大切な事に思えて引き算をして、簡潔な文章にまとめる事など出来なかったからだ。
そんなら僕を、彼は少し目を丸くし見て、口もとに手をおき優しげに笑った。僕はそんな彼に安心し、もし彼に断られても僕は満足だろうと確信した。
「そうですねぇ……。屋敷の方は、シャルルさんの手入れが良かったので、保存状態はどこも素晴らしいものでしたので、是非、ご一緒させてください。それにはまずバスルームの準備をいたしましょうか?……」
そい言った後、彼はしばらく僕を見つめた。
「ありがとう。ルイス、でも、どうかしたの?」
「この屋敷のバスルームのシャワーなどは、どれも少量の魔法を使う様に作られています。その使用方法をお教え出来ればと思っていたのですが……、みたところ当然の話しですが、ハヤト様の魔力の減少を私でも感じ取れますので、今日は旧式の薪を使い、お湯を沸かした方がいいだろうかと考えていました」
「あぁ……なるほど。今日は旧式でお願いします。ですが、魔法製品の方も使い方を一緒に教えてくれませんか? なんとなく、この後の一度の入浴では、この砂は落ちきれそうな気がするので……」
「かしこまりました。では、こちらに」
☆
僕はルイスにバスルームの使い方を習い、今まで魔力を疲れえない間のように、浴槽からのお湯をくみだす事はしなくては良くなった。
この事については、ルイスと日本式の浴槽ではないと絶対駄目だ!と、ごねにごねまくったと言う、前勇者のよしのさんに本当に感謝だった
こうして久しぶりに薪ね湯の温度調整は、少し面倒だったがやっと異世界でシャワーを使う事が出来た。
だから僕は、濡れた髪をタオルで乾かしながら、廊下を少し浮かれて歩いていた。
午前中、居なかっただけで部屋も、お風呂もどこかしら少し近代化し、シャンプなどの備品も少しオシャレな感じのケースに配置してあった。
――さすが執事は凄いわぁ……。きれいで、戦闘が出来るってルイスの方が勇者……いや、賢者? 詩人? ……やっぱり執事かな?
そんな事を、バスローブから着替えながら思った。
ちなみに、僕の桐箪笥には和服がメインで入っており、僕は当分のあいだのつなぎとして、シャルルさんの用意してくれた近衛兵用の練習着のYシャツとズボンを流用してもらい着用している。
いつもの衣服に着替え、デートの日から使ってない鞄を持ち玄関へ向かった。
玄関にいるルイスは、いつもの燕尾服ではなく。まぁ僕より上等であるのだろうが、僕と対して、そう変わらない服を着ている。
僕はそれを見てあぁなるほど……と思った。彼は、僕に合わせて、僕が見劣りしないようにしたのか。なるほど。なるほど。さすがである。
「お待たせしました。薪たきありがとうございます。それにしてルイス、しばらく屋敷をあけただけで、室内が見違えるほどきれいになりました。とても感謝しています」
「お役にたてれば幸いです」彼はしずかに微笑む。
「では、出発しましょう」
「はい。ハヤト」
僕と、ルイスは、城の小さなトンネルをくぐり門の前を横切り、兵士訓練所へ向かう。
兵士訓練所前には、ぬいぬいとシルスさんが待っていてた。
早速、彼らについてコロシアム側の奥の食堂へ向かった。
今日は時間が少し早かった様で兵士達の並ぶ長い列が食堂から少しはみ出すように並んでいる。
僕はランチメニューのバリエーションの内の、肉料理とパンと温サラダを食べた。
赤ワインで、煮込んでるらしい肉はとても柔らく美味しい。そこに甘く煮たニンジンとブロッコリーが添えられている。さすがお城で食べる料理はいつも美味しい。
兵士のにとって体はとても大切で、栄養も大切だが、ここまで美味しくとやる気も出るだろうなと、僕は思った。
料理を食べている途中に、ぬいぬいが魔法学校の見学の許可が下りた事を告げた。僕はその素晴らしい予定に驚き
彼にお礼をいい、ワクワクしながら料理を食べていると僕はどうも浮き足だっているように見られたようで――。
「いいから落ち着け」
「そうですね、魔法学校はあまり逃げませんし……」
と、ぬいぬいとルイスにたしなめられた。
――たまになら逃げるんだ、魔法学校……。
食事が終わると、午後は別の仕事に就くシルスさんとは別れる事になった。
そして僕らは、兵士訓練所から出ている、定期馬車に揺られて街に移動する事になるらしい。
映画やアニメ、マンガなど、それぞれに独特の魔法学校はあった。
僕もゲームでは、多くの魔法学校を卒業したしたり、退学させられたり、卒業する前に英雄になった事もあった気はする。
では、この異世界では、どんな魔法学校が僕を待っているのか? 僕は胸踊る思いで定期馬車を僕の仲間と待っていたのであった。
続く
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