第9話 魔法の資質
僕の住む勇者の間に今日も2つの嵐がやって来た。
彼らは、異世界の原石みたいな人物で、僕の知る異世界を今日もはちゃめちゃにしてくれるだろう。
子供の見た目のぬいぬいは、僕が玄関を開けと、僕に向かって
「これ妻の手作りサンドイッチ、みんなでどうぞ、だと」
妻と言う言葉に驚き、動きの止まった僕を見て、オリエラは言った。
「ハヤトの世界には、ぬいぬい師匠みたいな可愛い種族はいないの?」
「いないですね」
やっとふたたび起動する事が出来た僕は、ぬいぬいからバスケットを受け取りながら、ぬいぬい後ろで部屋に入れないでいるオリエラにそう答えた。
「師匠の奥さんのあるるさんも、大人なのにすごく可愛いの、でも、料理も上手で凄く憧れるんだよねー」
エリオラは、頬に手を当て夢みるように言う。
僕がバスケットを受け取り、廊下を歩きだしても、彼らはいろいろ話している。
そう言えば、授業のチャイムがなっても話していて、先生が怒ってた記憶があるのはこの頃だっけ……。
オリエラは、特にお姫様と言うより
「お前達、人間の種族から見れば俺は少し若く見えるだろうが、魔法学校には毎年度特待生として俺の里から出て来ているから、お前の学年の生徒と比べてみれば
「僕には二人が並んでいても、見分けられる自信はないですね」
「区別付かないよ――みんな可愛すぎて、もう困るよ」
「勝手に困ってろ」
「師匠は、そう言えばギルドのクエストは育休中で、休みなのに2日も続けて、ここへ来てもいいの? 初級のアレなら私はもう完全に覚えてるよ」
「それはわかっている。わかっているが、何故か今日起きたらもうサンドイッチが用意されていた。思い浮かぶ事と言えば料理の時、魔法の事考えていてパスタのタイマーが鳴っていたのをみ落としたのと片付けたマットが、さっき用意されたものだった事だろうか……」
「それは駄目だよ……。師匠の、魔法の才能と熱意は家事、子育て両立出来ないよ……どちらかに底なし沼みたいにはまるんだから。やっぱり付き合いが長いとあるるさんには、ハヤトの修行が楽しみで手につかない状態とかは、すべて見抜かれちゃうんだね……」
「なんかお忙しい時に、すみません」
そう僕が言うと、オリエラが慌ててる
「ハヤト違うの、そう言う意味じゃなくて……」
「あるるは、オリエラみたいに子供じゃないから、今、この国では、勇者殿が必要だってわかってるよ。俺をあるるが寄越したのは、それだけ勇者殿に期待していると考えて貰えばいい」
「ハヤトに気を使わせちゃったか、子どもじゃ無いって言い返せない……。でも、本当に私の父もハヤトには期待してると思うよ。そして私も期待してます」
「よそから来た奴に、そんなプレッシャーを掛けてやるな」
そういいぬいぬいは、オリエラをたしなめた。ぬいぬいを師匠と慕うオリエラと
師弟という関係について、よく知らない僕から見れば彼らは師弟として良い関係を築けている様に思う。そこへ勇者と言う肩書きの僕が加わる。
彼の奥さんのあるるさんほどではないが、彼の重積について僕にも少し想像は出来た。
リビングルームに、今日も彼らを案内する。
彼らの働きで昨日、僕がふたたびリビングルームへ入った頃には匂いもなくいつもの状態に戻っていた。
僕が感激しお礼を言うのを、照れているのを隠して、少し仏頂面になっていたぬいぬいと笑顔だったオリエラに、今日も改めてお礼を言った。
昨日の事を把握し、執事のシャルルさんが兵士に報告をもらったのだろう、リビングルーム着く頃には、息もあらげないシャルルさんに後ろから呼び止められた。
そしてティーセットを渡されたので、僕はサンドイッチを貰いランチはいらない事を報告した。
ティーセットを持って入ると、二人は思い思いの場所に座って居た。
オリエラは長椅子のソファーに腰掛け、ぬいぬいは、机の上にサンドイッチを置いて、自分の水筒からお茶を飲んでいた。
「今日は、魔法の授業をするの? ハヤトは、魔法の経験はあるの?」
「魔法は夢や物語の中に、しかありませんでした。ところで、僕は、ギルドや外出について、どうなっているか知ってますか?」
「ギルドや外出について、身分証明書が必要だからまだまだ、時間はかかるだろうな。まぁ詳しくは、俺は知らん」
「私も知らん」
ぬいぬいとエリオラは、腕を組みそう言った。
「真似をするな」
「はい……師匠」
「今日も大騒ぎする予定だら、先にお茶とお菓子をご馳走様になるか」
僕はギョッとするが、二人はぬいぬいの出した、空中に浮く水で手を洗っていた。
「魔法ですか?」
「水の魔法です!」
「だな」
何故か、オリエラが答え、ぬいぬいが肯定した。水は、ひんやりとして柔らかく普通の水だった。彼は開いた窓からそれを外に出すと、水はあっさり重力に負けしたに落ちた。
紅茶とプレーンのクッキーとドライフルーツ入りのクッキーどちらも最高級なのだろうが、僕には普通の味に感じた。
食べ終えた僕達。
「外の兵士を呼んでくるから、ティーセットとサンドイッチを違う部屋に避難させてくれ」
そう言ったぬいぬいは、すぐさま兵士のシルスさん達2人を連れて来た。
必要なソファ以外と机を非難させると、僕とオリエラを対面で一人用ソファに座った。その左右に、シルスさん達が立つ。
僕とエリオラが対面に座り、兵士が僕らの両脇に立っている。僕とエリオラは、右手どうしで手首をつかんでいるかたちになった。
「行くぞ、エリオラの水の魔法を通せ」
「はい」
彼女の手がら流れる微かに水色の粒子の様な色や光が、僕の手に伝わると、彼女と接触の多い皮膚からまず冷たい感覚が伝わってくるのがわかった。
それは僕の腕を通って心臓に行くように感じた。
僕の手から袖に隠れてしまうまで僅かな距離ではあるが、オリエラよりは濃い色で、魔王の腕から見えたソレとは同程度の水色の
「水色」ぬいぬいが僕の腕を見てそう言った。衛兵その言葉を紙に記入している様に思う。
「はい」
「うん?うん??」
エリオラがそう言うと、ぬいぬいが困った様に
「これは、吸われてるな……」
不思議な事に彼女の色も徐々に色濃くなっていくのだ。
「
「わかりました」
兵士達に緊張が走る。
その時、紋様の動きが止まり、僕の心臓から少し光を帯びて黒色に変わり、逆流するように流れるのが、着ている服の上からもわかった。
「離せ! 」
ぬいぬいの声とともに、兵士が動く。
「お前は止める様に思え、願え!」
ぬいぬいが、叫びにも似た声で僕を指さし言い放つ。
「手、離れました!」
「えぐいよもー、黒はないよ!黒は!」
エリオラは、ソファーに体を預けて力尽きた様になっている。
「姫、大丈夫ですか?」
兵士が心配そうに彼女をみつめて問いかける。
「大丈夫です、おかげさまで何もありませんでした」
エリオラは起き上がってそう言った。
「でも……突然現れた後輩が、私よりも魔力が凄くて凹みました」
そいうとエリオラは、ふたたびソファーに体を預ける。そこで兵士が微笑ましいような顔で、彼女を見つめる。
「うーん魔紋は、吸収、反発あり、そして属性は、黒、オール型少し緑が強い感じだな」
「レポートが書けたら、上に提出頼む。以上だ、ご協力感謝します」
そう言い、ぬいぬいが頭を下げると、兵士は敬礼をして出ていった。
「で、おまえさんの、属性がわかりましたよ」
オリエラに向こうの長椅子のソファで寝ている様に促すと、ぬいぬいが代わりにオリエラの居たソファに座る。
「最初にオリエラが使った魔法が、水の魔法だ。体には、結構な割合で水の割合が多いので、水の魔法に拒絶を示す人間はそう少ない」
「オリエラの水魔法に、誘発されお前の中の水の魔法のは一時的に活発化し、オリエラ以上の水の魔紋をその手に映し出し、そればかりかオリエラの魔法をお前は吸収しようとさえしていた」
「まぁ、これはまれにある」
「だが、吸収した魔法を踏み台にして、違う魔法で攻撃しようとした」
「才能があればこれは、まれに出来るようにはなる」
「だが、魔紋が黒くなるほど、水などのすべての魔法の属性が凝縮して体にためておけるマナはそうはない」
「黒の魔法は、暗黒の魔法とかと関係があるのですか?」
僕の知識の中から聞いてみる。
「俺の魔法は、自然学の方が専門だから、そっちは専門外」
お手上げと言う様にぬいぬいは、手をあげる。
「お姫様の調子が直ったら、この後は社会見学へ行くぞ」
「師匠――どこ行くの?」
エリオラは、ソファーに寝転がりながらそう言うと、ぬいぬいは、そんな事は気にしないで……。
「魔法学校へ行こうと思ったが……ハヤトは、威力や暴走が読みきれからから山へ行く」
「あ……その方がいいかもね? 」
そんなわけで、僕は山に行く事になった。だが、僕の魔法の禍々しさは、勇者としてどうなんだろう……。
続く
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