第8話 城での力関係
僕は異世界で、追放や死ぬ事はまだ無さそうだが、この国の偉いだろう人物2人から面接を受ける様になってしまった。
「改めて自己紹介するよ。こちらが
「草薙ハヤトです。 よろしくお願いします」
「ハヤト、先程の事驚かせた様ですまなかった、さっきも言った様に以前の勇者が野外であるが、大立ち回りをしたから安全策として、人を配置するしかなかった。ここで暴れられるといろいろ困る事になる。見ての通り貴重な物やお金に変えられない物もここには多くくあるからね」
金髪、おかっぱの彼女はニャリと笑う。
「見知らぬ人間に、警備を強化するというのはわかります。ところ先程も聞いたのですが、僕が勇者って事に確証とかは、あるんですか?」
「間違いない、ハヤト、君は勇者だ。と言ってあげたいけど、現在言えるのは勇者の召喚の間から出て来たのだから、勇者じゃないかなぁ? って位で、後は君に証明して貰うしかない。それにはどうするか。手っ取り早く言えば魔物を次々に倒せる才能があれば勇者。それでいいんじゃないかな? うちはギルドだから、それで構わないよ!……城では、なんて言うかわからないけど……」
力こそパワー! 脳みそ筋肉系のギルド総監督のレンさんはそう言うと、両手とも肘から指先まで机に付け、そこに顔を乗せてダイジス宰相を見ている。
「魔王の消息が定かでない今、我が国では現在兵を挙げての魔物討伐は、ある事情で出来ないでいる。だからと言ってはなんだが、魔物討伐に関して私個人の考えでは勇者殿、貴方に大変期待している。それが分かりやすく貴方に伝わるよう当面の生活は保証し、後は、ギルドを通しての報酬を考えている。私は、勇者殿がその期待に答えてくれる事を大変期待しているよ。この先の話は、ギルドの管轄になる。部外者が居ても邪魔にしかならないであろうし、残念ながらレン君に引き継ぐ事にしよう。では、お先に失礼するよ、お二人とも」
「えっ?! ちょっと待って! 待って! ダイジス! うちにこの子を丸投げする気かい?」
レンさんは、彼を止めたが彼はさっさと、僕達を置いてサロンから出て行ってしまった。そしてレンさんは、顔を伏せたまま動かなくなった。
「あの……レンさん……?」
彼女は、僕の呼び掛けにゆっくり起き上がった。
「くそっ、あのたぬきめ……、うちから2倍の仕事を押し付けてやる、ギルドのランクアップの試験の開会式でも、我が国代表として訓示を読む様にごねてやる……。押し付けた勇者殿の、晴れの舞台から逃げられると思うなよ!」
ギルド総監督が、元気になって何よりだが、僕を巻き込んでの波乱の幕が、開くを感じずにはいられず震える思いだった……。
そんな僕に彼女は目を向けた。
「あっ、ハヤト、君がこれから所属する、ギルドについて説明するよ」
彼女は、何事も無かった様に軌道修正した。僕としてはまず『宰相については、いつも無理難題を言われて困っているんだよね……』とか、人間らしい状況説明が欲しかったが、そんなのは無かった…。
「ギルドと言うのは、冒険者が所属する組織で、本部は、ここホイルトツェリオ城。でも、実際は城下街にあるギルドを本部って呼んでいる。他の街でギルドを起こす際の認可も城下街のギルドでやる。一応私の上司が、宰相になっているが何にもしてくれない。ギルド認可の時にサインをくれる位かな? うちの作った書類に。ははは」
レンさんは業務について、喜怒哀楽織り交ぜながら話している。勇者としてまず救うのは、彼女なのかもしれない……。
「ギルドにはそれぞれランクがあり、中級、上級クラスのランクアップには、大きな都市で審査試験、面談、心理カウンセリング行われるのでそこに参加しなくてはならない。宰相が、訓示をするのはここ。上位ランクと組めるのはここだけだから、最後の一掃戦だけに参加するパーティが多くいるよ。魔王が消息不明だからこそ、ここまでの体制を整える事が出来た。現在は、ほどよく平和な時代と言っていいだろう。」
「初級はないのですか?」
「魔法学校がある我が国にはないね。基礎はそこで身につく。後、上級の上のエクストラ階級は、業績で審査されるからテストはないし、手続きもギルドで行えるよ。以上説明終わり。質問はあるかい?」
「ギルドについては無いです」
僕は、短時間の間にギルドと、そしてギルド総監督と、この城の宰相の力関係まで知る事が出来た。
「失礼します」
サロンの入り口に執事らしき人物が立っていた。
レイさんはが「ここだよ」と言って立ち上がり彼を呼んだ。
「彼は、執事のシャルルさん、この城の事から新居の相談まで出来る、頼りなる人物だ。彼がこの城にいる間、住む事になる別邸の『勇者の間』に、ついての案内としばらくの間の君達の世話をする事になっている。しばらくすると新しい専属の執事が到着すると思う」
「初めましてハヤト様、執事のシャルルでございます。どうぞお見知りおきを」
そう言いシャルルさんは、頭の先から指先、足の先そして黒い髪一本までスマートなお辞儀を僕に披露した。
「草薙ハヤトです。よろしくお願いします」
そう言って、僕がお辞儀をすると、今度は彼が、僕のすみからすみまでを、その目は見つめているようだった。
「シャルルさんこの子は、ここへ働きに来たわけじゃないからお手柔らかにね」
「もちろんでございます」
ふたりともにっこり微笑んではいる。しかし、二人から強者の雰囲気を感じ取るのは、気のせいだろうか?
「では、私もこの通り忙しい身なの帰るが、その内、話し相手を送るよ。時間は、かかるだろうけど待ってて」
そう言って彼女は、上着をひらめかせて帰っていった。
続く
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魔王が来たので→異世界に住む、女の子を僕は好きになりました もち雪 @mochiyuki5
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