第3話 日本側 ②

審判の笛が鳴り、サーブが始まる。ボールは力強くネットを越え、アメリカのコートへと飛び込んだ。アメリカのリベロが素早く反応し、レシーブでボールを上げる。ここから激しいラリーが展開された。


ボールは行き交い、両チームの選手たちが全力でプレーを繰り広げる。観客席からは応援の声が響き渡り、試合の緊張感が一層高まっていく。


宮崎梨花はコート中央で次の動きを見極めながら、一瞬の隙を狙っていた。ボールが涼子の元に渡ると、彼女の目が合図を送る。涼子は冷静にトスを上げ、その瞬間、梨花は全力で跳び上がった。


「これで決める!」梨花は心の中で叫び、強烈なスパイクを放った。ボールは鋭い軌道を描き、アメリカのブロッカーの指先をかすめてアウトとなった。


審判の笛が鳴り、得点は日本に。観客席からは歓声が上がり、日本のベンチも一気に盛り上がった。しかし、アメリカの選手たちはすぐにブロックアウトを主張し、ビデオ判定を要求した。


「またビデオ判定か……」梨花は息をつき、緊張の糸が再び張り詰めるのを感じた。


涼子が肩に手を置き、静かに言った。「リカ、大丈夫。自信を持って。」


大画面にスローモーション映像が映し出される。ボールがブロッカーの指先をかすめる瞬間がはっきりと映っていた。観客も選手たちも、その映像に釘付けになった。


「頼む、ポイントは日本のままで……」梨花は心の中で祈るように思った。


審判が判定を下す。「判定は……インです!ポイントは日本!」


日本チームのベンチが歓声に包まれる。涼子と梨花はハイタッチを交わし、次のプレーに向けて気持ちを新たにした。


「次のポイントも集中していこう!」涼子がチーム全体に呼びかける。


梨花は再び深呼吸をし、コート中央に戻った。彼女の心には、次のプレーに向けた強い決意が宿っていた。試合はまだ続くが、勝利への道筋が少しずつ見えてきた気がした。

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