弐拾壱ワ『首吊り公園』
ビデオグラファー(略してビオグー)の
ユーザー
近所の心霊スポットへ友人と撮影に
来ていた。普段彼女はルーティーン系の
動画を配信しているが、視聴率低迷な
為オカルト好きの友人にコラボ企画して
貰ったのだ。
公園の入口前でオープニングを撮る
奈歩達。三脚でカメラを固定して準備
は整った。いざ録画スタート…
ポチッっとボタンを押す。
奈歩「…み、皆さ〜ん、こんばんわ。奈歩です⭐️今回は初のコラボ回となってまぁす。早速ゲストをご紹介しまぁす」
朝顔「ゲストの
簡単に自己紹介を済ませ、カメラを
したまま公園内を1周歩く。
ブランコにスベリ台、小さな砂場
それから鉄棒。よくある公園の遊具を
撮影した。
朝顔は怪奇現象が起きると期待してい
たのだが、何にも無いので自分の
カメラを止めた。
朝顔「奈歩、公園の奥にある『立ち入り禁止』まで行かない?」
奈歩「いいのかな?」
朝顔「大丈夫だってぇ。怒られたら謝ればいいじゃん。ね、行こう!」
強引に手を引っ張る朝顔を先頭にして
少し速足になる。片手にカメラを
持っているので揺れすぎないように
注意する。
3分くらい歩くと立入禁止の看板前まで
来た。手入れされておらず草は伸び
放題で荒れている。
看板の隣には壊れかけたフェンスが有り
2人はそれを越え中に入ると…、
粗大ゴミが山積みにされていた。
奥へしばらく歩いていると何処からか
鼻が曲がりそうなくらい異臭する。
奈歩は鼻を片手で押さえ、
奈歩「朝顔。ごめん😰私これ以上前に進めない。」
朝顔「同感😓戻ろう」
2人は走って来た道を戻り立入禁止の
場所から公園内に戻って来た。
奈歩「やばぁー。お化けより臭いの方が無理だよぉ」
朝顔「マジそれ〜。あたしさよく廃墟とか取材しに行くんだけど。あそこまで酷い臭い嗅いだ事ない」
2人は嗚咽しそうになっていた。
気分が悪いと奈歩は公衆トイレに行く
と言い朝顔のそばを離れた。
もちろん片手にはカメラを回した
ままである。
トイレに近かづくと…声が聞こえる。
「ふーーーウっつ…あ″っづい…づいよぉ……あ″ガぁっ」
奈歩「ひぃ!?」
奈歩はびっくりしてその場を走り去る。
さっきまでいた場所に戻って来たが
朝顔が見当たらない。
すると携帯から着信音がピコンと
鳴った。
奈歩「なんでこのタイミングなのぉ。怖いすぎるぅ」
携帯の画面を見ると朝顔から
ショートメールが届いていた。
『公園入口前の大きな木がある木のベンチで休憩してるから』
奈歩はメールの内容を見て安堵した。
奈歩「よかったぁ、まだ公園に居たんだ」
朝顔の居る場所に向かい合流した。
自身も休憩しようとカメラを木の
ベンチの前に置く。
奈歩はトイレの中に何かいると
言い出した。
怯える奈歩の様子見る限りもう今日は
撮影出来る心境ではなさそうだ。
手早くエンディングを撮り、家で
編集すると言って解散した。
翌日奈歩は、朝顔に電話で泣きながら
1人では編集出来ない。手伝ってと
懇願して来たのだ。
理由を聞いてみると、立入禁止の場所
ではブツブツと音切れが入り、
トイレ付近では呻き声と重なり女性の
笑い声も入っている。
1番怖いのがエンディングで撮った木の
ベンチの後ろの木で首を吊っている
ように見える男性が映っている事
らしい。
朝顔は奈歩に理由もなくごめんねと
謝った。
朝顔「その男性…見えるじゃなくてマジの首吊り死体だよ」
実は朝顔は奈歩に公園を企画した時点で
知っていた。心霊スポットではなく、
毎日誰かが首吊り自殺する呪われた
公園だって事を。
そして次に誰が呪われる事ももちろん
知っていたのだった。
終
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