拾玖ワ『ヤブ医者の末路』
やぶ医者である。
担当は精神科、心の病を治す医者。
本来なら大学の医学部を卒業し2年の
臨床研修を経て資格を習得する。
彼が何故免許を持たず精神科医で
大手の病院で働けるのかって?
そりゃあ、院長が父親だからだよ。
今日もいつも通り精神科に患者が来る。
看護師「丑雄先生、患者さん来られました」
丑雄「どんな症状?」
看護師「整形依存症ですね。」
丑雄「依存か…少々厄介だな初診だっけ?」
看護師「はい」
丑雄は看護師からカルテファイルを
受け取る。ざっとカルテに目を通し
看護師に、診察室に入るよう呼んで
もらう。1〜2分後看護師に名前を
呼ばれた患者が目の前に置いてある、
丸く回転する椅子に丑雄と向かい合う
ように座った。
丑雄は挨拶をして患者に爽やかな笑顔
を見せる。患者の顔がポッと赤く
染まり
その様子を見た丑雄の唇が少し口角を
上げニヤッとする。
丑雄「(ちょろいな)」
丑雄の容姿はKーPOPアイドルのような
イケメンであり、とにかく爽やかな声
と口調が特徴である。
2〜3分程度依存患者と会話した後、
患者は診察室に入って来た時と比べ
表情が上向きになっていた。
丑雄が『大丈夫だよ』と安心させる
言葉を投げると依存患者は笑顔を
見せ、丑雄に感謝の言葉を述べ診察室
を出る。
大抵の患者はその声を聞いて丑雄の
適当な診断に耳傾け納得してしまう。
次々と患者は来ては適当な診断を下す。
DV(暴力性の高い)患者が来た時は、
女性看護師では危険な為柔道や空手
経験者を横につけて、診察することも
ある。
暴れる場合は鎖で手足縛り地下施設へ
送り薬を用いて大人しくなってからに
なる為、非常に面倒くさいので警察に
預けるかどうするかいつも院長の
親父に任せていた。
休憩室に入り一服していると、
院長が入って来た。
なんだかいつもと様子が違う。
目が血走ってて眼球が飛び出しそうな
くらい目を見開いている。
呼吸が荒く酷く興奮状態だ。
院長「う〜し〜お〜。地下室へ行こ〜う」
獣のような唸り声で話す院長に驚きが
隠せない。
丑雄「い、行かねぇし!」
院長は丑雄の手首を掴む、いくら
振り払っても掴みに来る院長はまるで
ゾンビ映画だと丑雄は思い、院長から
逃げるように走った。
しかし体力の無い丑雄は猛スピードで
迫り来る院長に捕まってしまった。
目を覚ますと地下室施設にある、
手術室の台の上に居た。
体中に暴れないようベルトが巻かれて
いる。
丑雄「親父!!離してくれよ!親父〜!オレが何したてんだっ!?」
院長「何もしていなさ。俺はな…お前の事が…お前のカラダが…お前脳が、知りたくて知りたくて仕方ないだ。だから……解剖させてくれ!!」
翌日、病院内ではこんな噂が流れた。
『精神科の医師と院長、前々から精神崩壊してたらしいってよ』
終
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