第6話 英雄達の歴史

【クレオパトラは美学に通じ、地球の英雄の一人とされ、死後地獄にて戦うもほぼ逃げるのみ】


 そこには絶世の美女と言っても良いほどに相応しい女性がいた。

 全裸に近い恰好なのに見てはいけない所は上手く隠されていた。

 彼女は会釈すると、ぽっと顔を桃色に染めて微笑んでくれた。


「カイル様に従う意思を証明いたします。地獄より救って頂いた御恩を返せるように、この美についてなら」

「ありがとう、クレオパトラ、研究とかできそうかな、さっき緑マップで研究所を設置したんだけどさ」


「それなら美に通ずる飲み物を開発して見せましょう」

「お願いするよ」


【斬り裂きジャックは地球にいた殺人鬼であるが、詳しい事は霧の中。いつしか英雄化しており、地獄にて無双の殺戮をこなした。他の英雄たちからも一目置かれているらしいが、言動がおかしい】


 そこには巨漢がいた。

 全身を覆い隠す巨大なマント。

 巨大な顔には幾多もの傷跡があり。

 仮面のようなもので一部一部を隠している。

 背中にはあらゆる包丁やら武器やらが装備されており。腰にもあちこちに刃物があった。


「俺様、人を殺す事しかできない。それでも良いか」


「そうだな、今はダメだから、門で門番して欲しい、先程緑マップでオリハルコンの城壁と城門を設置したよ、変な人が入ってきそうになったらなるべく殺さず痛めつける程度にしてほしい」


「それなら簡単だ」


 斬り裂きジャックは不適に笑ったのであった。


【ドクターMORIは異世界バラミア出身であり、回復ポーションを最初に開発した人間である。しかし研究ばかりしていて過労死した英雄である】


 そこには白衣のおっさんがいた。

 彼はぶらーんぶらーんと揺れながら、目の周りが黒くなっているのはクマなのだろうか。

 こっちをいかれた視線で見てくると。

 へらへらと笑い。


「さっき研究所がなんたらっていってたよねー」


「はい、それなら行きますか?」


「うん、いいねー研究はするに限るねー」

 

「よろしくお願いします」


【次に謎の老人ですが、医者なのですが、記憶を失っています】


 そこには老人がいる。

 白衣のローブをまとって、ゆったりとした動作で辺りを伺って。

 何も話さずにどこかへとぶらりと消えて行った。


【次にゴーストイーターですが、異世界バラミア出身であり、ゴーストを食べる事で強くなっていく人間です。今までに食べたゴーストの数は測りしれませんが、現在リセットされてレベル0になっています。次にタイムガムンですが、時間が経過すればするほどレベルアップしていきます。現在レベルはリセットされて0になっています】


 ゴーストイーターの恰好は髑髏の仮面を身に着けており。

 黒いスーツのようでいてぴっちりとした衣服であった。

 対してタイムガムンの格好はパジャマそのものであり。

 だぶだぶと動く姿。

 少年その物だが、青年よりちょっと前くらいの年齢のようだ。


 2人はぼーっとしながらこちらを見ていると。


「さて、ダンジョンはあるかな?」


「かなかな?」


「ダンジョンならジスタ領地に数えきれないほどあるから攻略してきてよ」


「そうしようか」


「眠たいけどね」


 2人がとぼとぼとレベル0でダンジョン攻略に向かっていった。

 どうやってレベル0でモンスターを倒すのか気になったが彼等の特性を上手く利用するのだろうと思った。


【次に町長タナカですが、彼は何度も異世界転移をしていまして、レベルが3000⃣になっています。スキルの習得数も未知数です。最後の異世界で町長をやっていた事から町長タナカと呼ばれるようになりました】


「出来る事があったらおっしゃってくださいね」


 活かしたおっさんではなく、真摯なおじさんという風体だった。

 彼はどこにでもいるおじさんという恰好をしている。

 少し古ぼけたシャツに柔らかそうなズボン。

 

「では、家が沢山出来たので、あと住民も増えたので管理をお願いしたいです」


「はい、それは得意分野ですからお任せくださいな」


 町長タナカは紳士らしくとぼとぼと背筋を伸ばして立ち去った。


 滅びた住民1000人が増えた事は大きかった。

 ジスタ領地に人口が一気に増えて。

 賑やかになった。

 色々な建物や施設は緑マップで設置完了した。

 モンスターハウスはモンスターを収納できる異次元と繋がっているのだが。

 現在俺はモンスターをガチャでしか出していない。

 というか、スライムしかだ。

 

 テイムというスキルを使用してモンスターを増やすのも良いだろう。

 そんなこんなしていると、1日1日を伝説のクワで振るった。

 いつしか伝説のクワの扱い方に慣れてきてまるで相棒のようだった。

 レベルが100になったとき。ジスタ領地にやってきて1週間が経とうとしていた。


 親父から貰った食料はとっくに尽きている。

 その後に農作物や果物や動物の副産物が出来上がって。

 食事には困らない。

 鉱石、宝石、木材等、建築に必要な物や交易に必要な物を無限倉庫に片端から収納している。


 感動的だった炭酸飲料という飲み物。

 それを研究所で再度再現してくれた時にはクレオパトラとドクターMORIに涙ながらに感謝した。

 ただただ伝説のクワをふるってノルマを達成する日々。

 図書館には数えきれない程の本があり、日々読書はかかせず、賢くなっていく自分がいる。


 アドバイザーは神の声だし。

 ジーバとリラメイド長がサポートしてくれる。

 

 他の人達が達成したノルマも共有で得られるので、あっという間にガチャ10回分が使用出来るようになった。


 ガチャをする前に問題が発生した。


 現在このジスタ領地はオリハルコンというありえないくらい頑丈な城壁に囲まれている。

 荒野であり城壁なんてなく、そんな所に突如巨大な城壁と城門が出現すれば、見つけた人は驚きアララスタ王国に告げる事なんて当たり前だろうし。


 アラギリ領地の父親の耳に届く事だってありえる。

 かくしてアララスタ王国の使者と父親が一緒に来たのは面くらったものだ。

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